bars60 色があるためにあらぬ迷いも生まれるけれど、色があるからこそ認識はたやすくなって表現の幅は広がります。

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色彩について

 

<色の心理効果>

 

人間の五感の中でも外部の情報を捉える器官としては目の役割が一番大きいと思います。その視覚のなかでも色は人間の情緒に直接的に働きかけます。燃えるような赤い色を見ると、気分が高揚したり、澄み切った青色を見ると冷静な気分になったりします。

もちろん個人差はありますが、大局的には当てはまる部分が多いので、色の心理効果は広告などのグラフィック表現はもとより、病院、学校、工場や、企業のオフィス等の環境配色の基本に用いられます。

ただこれらの施設のカラーコーディネトの方法はその多くが無難な配色法に偏りすぎ、ほとんどの壁面や天井が淡いブルーやクリーム色で済まされています。病院のラウンジや会社の応接室に申し合わせたように油絵や彫刻が置かれているのをみるとちょっと寒くなります。たぶん空間としての間がもたないから、絵や彫刻を置いている場合が多いのではないでしょうか。

例えば病院なんかは患者さんが壁面を見ているだけで自然を味わえるような小動物や植物をモチーフにしたデザインやカラーリングが必要だと思います。外界との接触の少ない患者さんにとって淡く単一な色合いが全てでは気分がよけい滅入ってしまいます。多くの病院は健康な人間が訪れても元気がなくなるような空間になっているような気がします。

物理的な医療とともに環境を心理的な医療補助の要素として建築家やデザイナーは考えるべきです。学校は子供達の頭や体がより活性化するような環境に、会社は仕事の能率だけではなくて新しいアイデアが出やすい環境を考えてカラーリングするべきだと思うのです。色彩による刺激や癒し効果はもっと積極的に応用されるべきです


 

<色と温度>  寒さ・暑さ・暖かさ・涼しさ・冷たさ・熱さ

 

色から受ける温度の印象をもとに、読んだ瞬間にマスター出来る配色法を書いてみます。

色の3原色や加色法、減色法、暖色、寒色、補色、グラデーションなど色についての基礎知識の一切入らない方法です。

それは自然の景色や自然そのものの成り立ちの配色をを思い浮かべて手本にする方法です。色彩感覚は個人の千差万別で配色にセオリーはありませんが、配色に迷った場合なんかはこの方法は簡単で役に立ちます。例えば「3つの色を使って寒さを表現して下さい」こんな出題に対していきなり赤や紫や黒であっと言う間に画面を塗りわける生徒もいます。それでいいと思います。白と焦げ茶と紺色で塗りわける生徒もいます。それもいいと思います。

自分がそう感じるのならなんでもいいと思いますが、問題なのはカラーチャートを睨みながら手が動かない生徒です。表情なく印刷されたチャートには温度差などはなく、そこから冷たい色や寒そうな色を見つけだすのは無理があります。温度差があるのはイメージや体験の中にある自然が持つ配色だからです


 

<冷たい赤と暖かい青>

 

「寒さ」と問われて北極や南極をイメージする人もいます。高山や冬をイメージする人もいます。深海の冷たい水を思い浮かべる人もいると思います。宇宙空間やプラスチックやガラスで構成された無機質な空間から寒さを感じる人もいるかも知れません。きっと寒さと言う言葉に対する色のイメージは個人の体験や知識によって無限のバリエーションがあると思います。

ただそれぞれのイメージのシーンを色と言う次元で切り取って規定された色数で塗りわければ「寒さ」と言う出題に対しては全て答えになっていると思います。でも色の知識をたよりにカラーチャートから寒色系の色を3色選び出して塗りわけた場合は答えではありません。それは寒く感じる白は雪や氷山の白で真綿の白ではないからです。

雪の間にかいまみえる凍てついた土の焦げ茶はコーヒー豆の焦げ茶ではないからです。暖かい色として肌色を使うならあくまでも人肌の温度をイメージすることが大事です。結果は同じじゃないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、このへんの思考のプロセスが形や音等の五感に対しても同じように働くので、いわゆるセンスと言う特定できない能力の原点になっているのではないかと思うからです。

優れた音楽家が楽器のドレミからではなく、木々のざわめきや小川のせせらぎなど自然の中から音や和音を見つけだすように、色彩も自然が創り出す必然的な配色の妙を手本として会得すれば簡単な事のように思えるのです。

色彩の意味と 組み合わせのバリエーションの手本は 自然の中に全てあります。そして冷たい赤や暖かい青を見出す事もそこから生まれてきます


色彩の意味と 組み合わせのバリエーションの手本は 自然の中に全てあります


 

<色と偏見>

 

もともと色に対する感性はそれぞれの環境や体験が大きく作用しています。今はかなり変わりましたが僕の子供の頃は男の子と女の子という区別の方法の一つとして色が使われていました。別に規則があったわけでもないのに赤やピンクの筆箱やハンカチを持つ男の子はいませんでした。

何故かブルー系統やグレー系統に統一され、赤いソックスなんかはいて学校に行く勇気のあるやつは滅多にいませんでした。そんなことをすると男女双方からいじめられたと思います。そんなことで色に対するある種の偏見は赤ちゃんから小学生の間に無意識のうちに植え付けられてしまいます。今でも赤いランドセルの男の子は少ないと思います。黒のランドセルより交通事故予防のためにも赤が目立っていいと思うのですが。

このことは現在ではかなり是正されてきました。アロハシャツとまではいかないですが、役所や固い会社で働く人達もカラーシャツを身につける事ぐらいは当たり前になりました。信じられないことですが、一昔前はそれらの職場においてはカッターシャツは全員白だったのです


 

<色と感情>  悲しさ・楽しさ・苦しさ・嬉しさ・寂しさ・不安・安心

 

悲しい色がどんな色かは音楽のメジャーコードやマイナーコードのように大別することは難しいことです。ただ同じように言えるのはやはり楽しい感情は明るくて軽くて起伏が大きく、悲しい感情は暗くて重たくて起伏があまりない色と言うことが出来ます。

廃墟となった遺跡の色合いや戦争や震災で瓦礫の山となった街の色合いは悲しさや不安や苦しさを連想させます。黒や灰色やセピア調に仕上げられた映像がカラフルな映像より深刻さを伴うのは、そのような潜在意識があるからです。

白や原色の配色が楽しさや安心感に結びつくのは自然や街が破壊を受けずに営まれている情景が潜在的にあるからです。神戸の震災の時に現地を見て思ったのがこの事でした。震災前に街を彩っていた色の付いたものが殆ど土とコンクリートに覆われて全体がくすみ、殆ど原色や白色のない世界でした。

普段街中で目を引く鉢植えの花や緑、ビルを飾るイルミネーションや鮮やかなエクステリアがいかに表面的なもので、質量のないものかを痛感させられました。そして、色は形より人間の感情に対して直接的に働くものではないかとも思いました。

豊かな緑や鮮やかな黄色や赤が輝く風景は、平和と豊かさの象徴です。緑や原色の少ないアフガンの風景を見てると、このことがひしひしと分かります。色のない風景は幸せの薄い風景です


 

<色と料理>  素材・調理・盛りつけ

 

料理の世界はデザインと共通する要素が多く魅力ある料理の盛りつけを眺めているだけでも配色やレイアウトの勉強になります。美しい野菜や魚介類に鮮やかな果物、香辛料などが織りなす世界は味覚や嗅覚の判断のみならず、視覚のしめるウェートもかなり大きなものがあります。

殆どの食材の鮮度はその色で見分けることが出来ます。新しい野菜や果物はその緑や赤や黄色の色がみずみずしく鮮やかです。牛肉などはその赤みの微妙な変化で、食べ頃を知ることが出来ます。視覚では判断がつかないものもありますが、多くの食材はある程度色や光沢等の視覚的な観察で推し量る事が出来ます。

そしてこの素材同士の味の相性がそのまま色の相性に当てはまります。イタリアンピザの味のハーモニーと素材の色の調和を思い浮かべて貰えれば分かると思います。クリーム色のキャンバスにトマトの赤とピーマンの緑とチーズの黄色の絵の具を投げて、最後に、タバスコ色の透明感のある赤を散らせばそれだけでイタリアを感じさせる印象画となります。

もし印象を和風に表現したいときは、わらびやゼンマイやひじきなどの山菜料理の素材を思い浮かべてみて下さい。色による印象は強烈なものがあります。時には配色からイメージをたどって実際には描かれていない形をも想像してしまう事さえあります。
調理をデザインの配色に例えると、個性的な素材ここでは<色>を一つの目的にまとめる作業です。赤や青や黄色のニュアンスを整えなければなりません。これが上手くできればどんな違和感のある配色でもニュアンスを同化させる事が出来ます。

料理で熱の通りにくい素材を先に煮込んだり炒めたりして仕上がりを整えるように、赤の彩度を下げたり黄色の明度を下げたりして相対的な印象を調整します。これはそうしなければならないときの方法で、料理と同じく素材のいいものはそのまま食べた方がおいしいと言う感覚は色も同じです。

最後に盛りつけですが、これは印象のインパクトの問題です。どのような効果を狙うかによって異なってきます。上品に見せるか野性的に見せるか理知的に見せるかなど、同じ素材を使った料理でもいかようにもレイアウトできます。要は配色の量と位置の問題です。

日頃から料理をする時にこの事を意識していると、料理の腕も上達しますし、何かのデザインで色彩を考えるときとても役に立ちます。一つの風景には無数の色が混じっていますが、料理の素材は一つ一つが単独の色合いを持っています。

色を考え楽しみながら料理を作る。最も日常的で、遭遇する機会の多い料理からは、多くのことが学べます。美味しいカレーは何ともいえない色合いをしてるでしょう?カレー好きなら色を見ただけでおおよその味は分かると思うのです・・・・・・・・

Copyright (C) 2010 Masaki Matsuura. All rights reserved.

 

 

次は映画のすすめです

  


 

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