bars60 色が判別できないほど暗い場所では食べ物のおいしさも半減してあらためて視覚の大切さを実感しますが、
たいていの行為は五感それぞれの相乗力にあります。

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感覚

 感性と五感について 

 

<人間の五感とデザイン(発想)の関係>

 

人間には視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五つの感覚があります。そしてデザインとはこの五感を5種類の糸にたとえて編んでいく織物のようなものです。それはあらゆる感覚を視覚に置き換える作業、視覚次元に刺激や奥行きを持たせるために視覚以外の感覚を取り入れる事です。言い換えれば視覚の足りない部分を聴覚や味覚という別の感覚で埋めていく、パズルのようなものと言ってもよいかもしれません。見える音、見える匂い、見える味わい、見える感触、あるいは「音を見る」「匂いを見る」「味覚を見る」「感触を見る」意識で視覚世界を考える事です。

料理は味覚と、嗅覚と視覚のデザインです。見た目が美味しそうで、よい匂いがして、味わってみて納得。これが料理です。音楽や絵画は五感全てで感じた事をそれぞれ聴覚と視覚に置き換えたデザインです。(ここでは芸術と言う深い意味ではありません) そして織物や彫刻や陶芸は、視覚と触覚のデザインです。

そして一見関係なさそうな数学や物理も数や形や空間を五感で捉え、考えデザインしていくものです。その他の学問も同様に考えることが出来ると思います。ですから、全ての学問から得られる知識はデザインする上でとても役にたちます。それらは無限のアイデアソースです。なぜなら全てはデザインという観点ではつながっていますから。

「デザイン」はともすれば美術と近似語のように扱われる時がありますが、美術は読んで字の如く、美を追求、表現する術ですし、デザインにとっては、美はその中の一つの要素にすぎません。あらゆるイメージを目的に応じて具現化すること、それがデザインです。ですから、デザインには美に関する定義やジャンルと言う垣根がないのです。

こう書いている僕自身は、主にグラフィックの仕事に携わってきました。それは僕のデザイナーとしての才能の貧弱さゆえの結果で、僕自身はグラフィックデザイナーだとは考えていません。インテリアや建築、プロダクツも少し関わって来ましたが、モノを考え作る作業は科学であろうが哲学であろうが基本的には一緒です。

ただ各分野の専門技術的なところは、専門の技術者に任せねばなりません。おそらくデザインという観点からすると、ジャンルによる違いや障害は、そのジャンル固有の専門的知識と技術だけです。そして基本となる発想やアイデアは、その専門的な技術の枠外に存在します。だから、これからのデザイナーは、限定されたジャンルに束縛されないで活躍していくのではないでしょうか。もうすでに、そんな方は数多くいらっしゃるでしょうが、これからはそれがデザイナーの一般的な形になると思うのです


 

<想像力と専門技術>

 

例えば、どんな美味しい料理をイメージ出来ても、包丁を扱う技術と、素材に関する知識がないとイメージどうりの調理は出来ません。でもイメージを簡単にスケッチしてコンセプトをきちんと伝えれば、料理人はイメージに近い料理を完成させるでしょう。

そしてこのイメージ(創作)料理を考えるのならば、料理の技術がなくても、プロの料理人も思いつかないような料理を、その道の素人でも考える事が出来ます。もちろんイメージさえ出来ればのことですが。そして料理の知識や技術がかなりあっても、創作料理が簡単には出来ないのも事実です。

同じように、素敵なメロディーが浮かんできたら、それを何らかの方法で音楽技術者に伝える事が出来れば、一つの曲が完成します。最近ではシンセサイザーも発達していますし、楽器が弾けない、あるいは専門的な曲作りの知識がなくても、多くの人が作曲する事が出来るようになっています。

このようにイメージすることさえ出来たら、ジャンルを超えて創作が出来る。僕はこれがデザインの原点だし、デザインの魅力だと思っています。

簡単に言えば、イメージを作る人と、それを専門的知識で具体化できる人がいれば、どんなジャンルの仕事でも、同じ感覚で進めていけると思うのです。もちろん得手不得手はありますが、少なくともグラフィックだけとかプロダクツだけとか限られたジャンルでしかイメージが湧かないはずはありません

「想像力を働かすためには専門技術や専門知識が要ります」しかし技術や知識が逆に想像力を制約してしまう事は色々なジャンルで現実に起こっている事でもあります。この辺りのバランスはとても微妙ですが、おそらく専門的要素以外の「知識」がこのバランスを取り持つのではないでしょうか。


 

<想像力と技術力の違い>

 

先述したように、その分野の専門的な造詣が深いからと言って、創作のアイデアがどんどん出てくるかと言うと、逆の場合が多くそれはある種の「偏り」と「先入観」が出来てしまうからです。

ベーシックな知識が固定概念となりすぎて、新しいものの考え方の邪魔をする場合も多いようなのです。これは技術を収得することと創造する能力を開発する事を、明確に区別しない教育(考え方)のせいではないかと、僕は考えています。

技術をマスターする事が、あたかも創造そのものであるかのような錯覚が、学校や社会の教育の現場で行われているからではないでしょうか。「いかにして感性(想像力を養うか」これはどんなジャンルにも共通した1番大切な教育目的でなければならないと思うのです。

確かにイメージを形にするには技術が入ります。しかし、なにかをイメージするには技術は入らないと言う事実が、理解されていないような気がします。技術は結果を表現するための方法。そして、発想は、何もないところからモノを考える方法です。

そのためには、出来るだけ偏らないそして幅広いアンテナを持つ事が、大切ではないでしょうか。自由な感性が技術習得の流れの中で押し殺されないように配慮する事。これはスポーツにも言える事ですが画一化された練習法が個性を奪ってしまう事があるのと似ているところがあります。

これは僕の経験の中で、よく思ったことなんですが、僕から見れば感受性にとてもすぐれている人がいて、この人なら、素敵な発想をするだろうなって思っていると、本人が、私には経験や技術もないし、何も出来ませんよ。そんな事をおっしゃる人が時々います。

もったいないなあと、その都度思って、色々お話はするのですが、専門的な知識や技術がなくてはデザインの仕事は出来ないという観念は根強いようです。

確かに今までの創造的な分野は技術云々もありますけど、仕事に関わるルートとか、コネみたいなものが必要で、学校などでの技術収得はそのルート作りの一つでもあったかも知れません。でも、これからはコンピューターの進化とインターネットの普及で、仕事のあり方はかなり変わってくると思います。個人としての発想が直接ラインに乗るような事も増えて来ると思うからです。

世の中には色々な発想や想像力そして才能を秘めたまま、あきらめている人達がたくさんいらっしゃるような気がしますが、インターネットの普及で、感性のある個人が直接創造ジャンルの現場に参加出来る時代になりました。今迄多くの時間をかけなければ習得出来なかった技術の一部はコンピューターが補う時代になったのも事実です。要は技術の向こうにあるものをいかに考えるかが問題です。

こんな事を言うと技術なんかいらないって、言ってるようですけど、それは違います。技術を収得するには、すごい努力が要りますし、才能も要ります。

僕が言いたいのは、技術と発想とは違う世界の話だと言う事です。そして創造に関する仕事はあくまでも発想が主体であるべきです。発想が主体ならば、人間の持ってる感性(五感)の訓練こそ大切なのではないか?と考えるのです。

 


 想像力と五感の連鎖

 

五感を使って想像力を高める簡単な方法があります。それは五つの感覚を常に連鎖する方法です。きれいな花を見たら(視覚)、それを言葉(聴覚)に置き換えます。花の色や大きさを物理的に書いても、花から受ける印象を詩的に書いても構いません。とにかく視覚情報を言葉にするのです。

反対に印象的な文章に出会ったら、今度は視覚的に表現します。具象表現でも、抽象表現でも構いません。形を捉えずに色に置き換えるだけでもいいです。音楽を聴けば映像に、映像を見れば言葉に、言葉を聞けばふたたびメロディーにと連鎖します。

おいしい料理を食べたら、味(味覚)を絵(視覚)や言葉(聴覚)にして下さい。言葉はその料理のレシピを自分なりに考えるのもいいです。短いエッセイでもいいです。絵はその味から受ける印象を描いて下さい。尖った感じ、まろやかな感じ、スカッとした感じ何でもいいですから、色や形で表現してみて下さい。その場に道具がなければ頭の中でやってみて下さい。

見たことは言葉やメロディーに、いい香りは絵や言葉に、触れた感触はその他の4つの感覚に・・・というように置き換える訓練をします。常に手を使って表現できれば効果的ですが、頭の中でも十分です。最初は漠然としていても、暫くすれば具体的に印象を捕まえることが出来るようになります。

この訓練は色々な現象や存在のメタモルフォーゼ(変容)を想像する方法です。ワインのラベルのイメージを考える時、葡萄の原産地や製造法を知らなくても、その味だけでイメージが湧いてくるようになれば便利です。与えられた小さな情報から五感を通して想像を膨らませる。情報が多ければ五感のネットワークは縦横無尽に走るでしょう。

Copyright (C) 2010 Masaki Matsuura. All rights reserved. 


 

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