核燃料リサイクルの嘘
原発は環境にやさしいの嘘
原発は効率のいいエネルギーの嘘
原発は安全の嘘
原発は経済的なエネルギーの嘘

 

1つ1つの事実を検証すれば原発を推進する為には嘘をつかざる得なくなる!

■サイクルにならない核燃料サイクル
■再処理工場の問題
■プルトニウムが持つ問題
■再処理工場で大事故が起こったら
■発電機のしくみ
■蒸気を作るために核分裂の膨大なエネルギーが使われる原子力発電
■原子力発電の基本的な問題点・炉内にたまる大量の放射性物質
■核反応の原理は原爆と同じ
■炉心の大きな崩壊熱と冷却の必要性
■原子炉の型と問題点
■教材にある「何重もの安全のしくみ」の問題点
■放射性物質を閉じこめる壁
■原子力発電は環境にやさしいか?
■核反応の世界と化学反応の世界の違い
■リスクを見る視点
■リサイクルでは解決しない原子力発電
■ほんとはいくらかかるの?
■燃料再処理・・・・半分だけね?
■負担者はだれか
■予測不能 未来へのツケ


■サイクルにならない核燃料サイクル

核燃料サイクルという言葉を知っていますか?「石油や石炭などは一度使うと二度と使えないけれど、ウランはリサイクルすることが出来ます」「使用済み核燃料の再処理を繰り返せばウラン資源を数十倍も有効に活用できます」などと宣伝されています。電力会社で構成されている電気事業連合会がこのサイクル施設の構想を発表したのは1984 年でした。

ウランの採掘、濃縮、加工から原子力発電所へ、発電所からでた使用済み核燃料の再処理、再利用にいたるまでが通常の原子力発電所を中心にしたサイクルです。使用済み核燃料から回収された回収プルトニウムをウランと混ぜ高速増殖炉で燃やしながらプルトニウムをさらに増やし、これをまた再処理、再利用するのがもう一方のサイクルで、全体を「核燃料サイクル」といっていました。この計画のもと、高速増殖炉が2 基(福井県敦賀市に「もんじゅ」が茨城県大洗町に「常陽」)建設されました。しかし、高速増殖炉がもつ構造的な難しさのため、日本より早くこの計画を推進したフランス、ドイツなどの国々は相次いで計画を中止してしまいました。日本でも1995 年「もんじゅ」が運転開始後まもなくナトリウム漏れ火災事故を起こし、運転再開のめどはたっていません。その上2003 年1 月には、「もんじゅ」の建設を許可したこと自体が無効であるという名古屋高等裁判所の判決が下されました。従って現在ではサイクルの廻る見通しは全くありません。

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■再処理工場の問題

核燃料を再使用する流れの中で特に大きな問題を抱えているのが再処理工場です。ここでは原発の使用済み燃料を化学処理して核分裂生成物(高レベル放射性廃棄物)を分け、燃え残りのウランと核反応で出来たプルトニウムを取り出します。使用済み燃料は膨大な放射能の塊で強い放射線と高い熱を出し続け、生命にとって大変危険なものです。しかし、これを扱う再処理の行程や問題点についてはどの教科書、教材にも記述されていません。

日本の再処理工場は青森県下北半島六ヶ所村に建設されています。ここは米軍三沢基地、航空自衛隊基地、自衛隊射爆場、海上自衛隊基地などが隣接しています。これまで航空機事故、誤爆なども起きていますから、事故に巻き込まれる危険性を考えると立地条件も最悪と言えます。使用済み燃料は原子力発電所で最低1 年間冷やされた後、日本各地の原子力発電所から船や巨大なトラックに積まれてはるばる下北半島にまで運ばれます。この一級危険物の運搬時に事故が起きる可能性は否定できません。

再処理工場に運びこまれた使用済み燃料は先ず貯蔵プールで保管されます。ここで貯蔵される予定の使用済み燃料は3000トンで、冷却プールの規模としては世界最大級のものになります。再処理の工程は燃料棒(ジルコニウム合金のさやの中にペレットが詰められたもの)を、そのさやごと数センチの長さに切ることから始まります。このときに燃料中に含まれていた揮発性の放射能が放出されます。ぶつ切りの燃料は溶解槽の中で硝酸溶液を使って溶かされます。使用済みの核燃料の中には非常に溶けにくい金属が含まれていますので、硝酸溶液を高温に加熱してもなかなか溶けません。この不溶解残渣はいわば死の灰の塊ですから強い放射能と発熱性をもっており、事故の原因になります。1973 年イギリスのウインズケール(現在のセラフィールド)再処理工場で起きた大事故の原因はこの不溶解成分にありました。

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■プルトニウムが持つ問題

再処理工場が持つ最大の問題はプルトニウムにあります。プルトニウムは発ガン性も強く、吸入すると数十マイクログラム(1 マイクログラムは1/1000 ミリグラム)で100%の人に肺癌を発症させるといわれています。また、爆発性も強いので原爆の原料として使われます。このプルトニウムが年間10トンも運び込まれ、1 日に取り扱われる予定が50kg にもなります。プルトニウムがこれだけ大量に取り扱われるとなると、臨界管理の問題が生じてきます。プルトニウムのような核分裂を起こす物質は、宇宙線の中の中性子や自身の発生する中性子によって核分裂の連鎖反応(臨界)をおこし、爆発する可能性があります。そのため、プルトニウムの濃度が高くなりすぎないようにしたり、臨界の予防策をとったり、その管理に大変な労力と費用をついやさなければなりません。

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■再処理工場で大事故が起こったら

再処理工場は有機溶媒をたくさん使うため、火災事故や爆発事故がおきやすいことは上で述べました。そして、一旦事故が起きると、原子力発電所の事故と比べて集まった放射性物質の量が格段に多いため、被害の大きさも比較にならないほど大きくなる可能性があります。六ヶ所で過酷事故が起きれば、チェルノブイリ事故を越えた地球規模の汚染が起きるでしょう。再処理工場と航空機テロ:2001 年9 月11 日、ニューヨーク貿易センタービルに大型旅客機が激突したテロ事件後、再処理工場がテロの対象になる可能性が現実味を帯びてきました。フランスにあるラ・アーグ核燃料再処理施設が、もし、このようなテロの目標になった場合に何が起こるかを分析した記事を高木学校ホームページで紹介しています。http://takasas.main.jp/index.html

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効率のいいエネルギー?


■発電機のしくみ

磁石とコイルが使われる
磁石の磁力線はNからSに向かっています。これを横切るようにコイルを動かすとコイルの導線に電気が流れます。この原理を利用して図1に示すようにコイルの内側に磁石をおき、それを回転させることによって電気をつくることが出来ます。自転車のダイナモから原子力発電まで、発電の基本原理は同じです。磁石を廻すための力としてなにを使うかにより発電方法が変わります。自転車の発電機には人力、水力発電にはダムなどにためた水力、風力発電では風力が使われます。また蒸気で回転させる方法もあります。蒸気を発生させるためのエネルギー源としては地熱を利用する地熱発電、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料を使う火力発電、原子力を使う原子力発電等があります。

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■蒸気を作るために核分裂の膨大なエネルギーが使われる原子力発電

そのエネルギーの67%は廃熱として捨てられる
上に述べたように、蒸気の力で磁石を廻せば電気が出来ます。この蒸気を作るのに核分裂のエネルギーを使うのが原子力発電で、燃料として使われる物質はウラン235です。天然のウランの中には核分裂を起こさない(燃えない)ウラン238が99.3%と核分裂を起こす(燃える)ウラン235が0.7%含まれています。原子力発電には燃えるウラン 235の濃度を3%から5%まで濃くした燃料が使われています。
ウラン235に中性子が一つ当たるとウランの原子核が二つにわれる核分裂が起こります。この分裂の時に中性子が2から3個飛び出し、同時に熱が発生します。核分裂の時にでてきた中性子の数をうまく調整していき次々にウラン235に当てると核分裂反応を定常的に起こさせることができます(これを臨界と言います)。その時に発生する膨大な熱でお湯を沸かし、蒸気を発生させ、タービンを廻し、発電します。

タービンを廻す蒸気は高温の方が効率がよく、火力発電では400度の蒸気が使われますが、原子力発電の場合は強い放射線によって機器が損傷されるため、2百数十度まで下げられます。核分裂反応によって発生する熱は2,400度(東京電力によると1700度)にもなるので2百数十度の蒸気を得るために、燃料棒の周囲をものすごい勢いで冷却水を流します。ダービンを廻した後の蒸気の熱は復水器で冷やされ温排水として捨てられます。原子力発電所が必ず海岸か大きな川、湖のそばにあるのは余分な熱を捨てるための冷却水がなければ発電が成り立たないためです。このように原子力発電はエネルギー転換効率が非常に悪い(約30%)発電方法ということになります。(火力発電の場合、コジェネレーションシステムを使うと80%以上の熱を利用出来ます。)すべての教材に原子力発電の長所として「二酸化炭素を出さない」から環境に優しいと書かれていますが、原子力発電所から出される温排水が河川、湖、海の水温を上げ、生態系や環境に悪影響を及ぼしていることは書かれていません。

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■原子力発電の基本的な問題点・炉内にたまる大量の放射性物質

ウラン燃料ペレットは直径約8ミリ高さ約1センチの円筒形をしています。これが長さ4メートル、厚さ1ミリ以下のジルコニウム合金の円筒形被覆管に数百個も詰められています。ウランは比重が大きく重いので、この針のような燃料棒は非常に注意して扱わないと自分の重さで壊れてしまう程のものです。
核分裂を起こさせるとこの燃料棒の中に放射性の核分裂成分(死の灰ともいわれる)が必然的にたまってきます。100万kW時の原子炉を1年間動かすと、一般人の摂取限度の2,500兆倍の放射性物質が炉心にたまります。その中にはプルトニウム239などのように長寿命(放射能の量が半分になる半減期が24,000年)の放射能も含まれています。これら毒性の強い放射性物質は生物の生活圏から完全に隔離しておかなければ危険なのですが、この技術はまだ確立されていません。

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<核暴走の可能性> 

■核反応の原理は原爆と同じ

核分裂の連鎖反応を定常的に維持するため図3に示すように燃料棒の間に制御棒を入れ中性子の数を調整します。しかし、この連鎖反応を一定に保っておくのは非常に難しく、制御に失敗すると核暴走につながります。1986年4月に旧ソ連で起きたチェルノブイリ事故は制御に失敗して暴走にまでなった事故例です。事故の結果、原子炉周辺30kmは永久居住禁止区域となってしまいました。連鎖反応を一瞬にして起こさせるのが原爆で、原理的には原爆と原子力発電とは同じです。

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■炉心の大きな崩壊熱と冷却の必要性
死の灰から出される大きな崩壊熱は原子炉を止めても急には冷えません。高速で走っている車にブレーキをかけても急には止まらないのと似ています。制御棒を差し込んで反応を止めた後、発熱率が0.1%になるまでに約1ヶ月もかかります。これから分かるように、例え原子力発電を今日、直ちに止めたとしても、使用済燃料は10年以上にわたって冷却し続けなければならないのです。その間冷却に失敗すると燃料棒が溶けて放射性物質が環境中に放出され、大変な事故になる可能性があります。一年間発電に使った燃料を10 年以上にわたって冷却し続けなければなりません。しかもそれが生物の生命にとって危険であり、何十、何百世代にもわたって消えないものであることはどの教材を見ても書いてありません。

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<原子炉の型と問題点>

■加圧水型(PWR)原子炉

この型の原子炉はもともと原子力潜水艦に使っていた原子炉で、コンパクトに出来ているぶん損傷の進み方が激しいものです。冷却水は放射能を含む一次系と含まない二次系に分かれています。二次系の冷却水が蒸気発生器でものすごい勢いで蒸気になり、これが大きなタービンを廻し、発電機を廻し電気を作ります。それに伴う振動、熱的なひずみ等から蒸気発生器には非常な無理がかかっていて、損傷の進み方が激しく長い間にはぼろぼろになってしまいます。一次系では水の沸騰を抑えるために150から160気圧の圧力をかけています(150気圧というのは直径4メートルの原子炉容器の内面1平方メートル当たり1500トンもの力がかかることを意味します)。原子炉からの強い放射線にさらされている上に、高温、高圧であるため炉壁の脆化が起こり、崩壊するのではないかという心配があります。この形の原子炉で大きな事故を起こした代表的な例は、スリーマイル島(TMI)原子炉と、美浜原発2号炉等があげられます。

■沸騰水型(BWR)原子炉

この型の原子炉は加圧水型と違い、一次冷却水、二次冷却水の区別はなく、原子炉の中で直接お湯を沸かし蒸気を作っています。この蒸気を気水分離器という装置を使って取り出してタービンを廻し発電します。その結果、沸騰水型原子炉ではタービンの外側まで色々な放射性物質で汚れます。そのため労働者被ばくが大きな問題となります。また、原子炉から出た蒸気は大きなパイプを通ってそのまま格納器の外に出ていますから、万一パイプに破断が起きると原子炉からの放射能が直接環境中に放出されることになります。大事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリ原子炉は沸騰水型原子炉の亜型でした。

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■教材にある「何重もの安全のしくみ」の問題点

原子炉に危険性の高い放射性物質がたくさんたまるためと、核爆発の危険性を常に持つため、原子力発電の安全管理は幾重にもなされていなければならないことは誰が見ても明らかです。そのためにいわゆる「何重もの安全のしくみ」があるわけですが、そのしくみ自体に問題があったり、しくみがうまく働かなかったりしてこれまでに深刻な事故が起きてきました。これからも原子力発電を続けるかどうかの選択を迫られる生徒たちには考える基盤となる事実を教える必要があります。しかし、残念ながらそのような問題点はどの教材を見ても書かれていません。主な問題点を挙げてみます。


■止める

「原子炉を停止する必要がある場合には、制御棒を一度に入れて原子炉を自動的に止める装置が設置されている」と説明されています。しかし、原子炉の熱はすぐには下がらないことは、「炉心の大きな崩壊熱と冷却の必要性」を読んでいただければ分かります。その上チェルノブイリ事故のように制御棒自身の設計ミス もあります。原発は前もって実験出来ないような大がかりな施設であるために、実際に運転して事故が起きてみないとわからないことが多いのです。


■冷やす

原子炉を水づけにして冷却するしくみ
「非常用炉心冷却装置(ECCS)がはたらいて大量の水で原子炉を水づけにして冷やす」と説明されていますが、これが計算通り働かずに事故になった例は書かれていません。美浜原発2号炉の事故。これはPWR型の事故です。蒸気発生器細管という管が破裂してちぎれてしまった事故です。このときには肝心のECCSはうまく働きませんでした。アメリカのスリーマイル島の事故の時は運転員が原子炉に本当は水を入れなければならないのに逆にECCSを絞り込んで水が入らないようにしてしまいました。そのため燃料棒が溶けてしまって、すんでの所でチャイナシンドローム(地球の裏側まで突き抜ける程の大きな事故のたとえ)というとても恐 ろしい事故になるところでした。2002年には浜岡原発でECCSにつながる配管が水素爆発により破断しました。

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■放射性物質を閉じこめる壁

■第1の壁:ペレット、「燃料のウランを固めたもの。」
平常に運転しているときでもクリプトンやキセノンなど揮発性の放射能は燃料棒からしみ出して被覆管との隙間に溜まっているので、これらの放射能に対しては壁とは言えません。
■第2の壁:燃料棒(被覆管)
「350個のペレットが特別丈夫な金属の管の中に入れられている。」
とありますが「特別に丈夫な金属」といわれているのはジルコニウムという金属です。これを使う理由は核分裂の時にでてくる中性子を吸収しにくいためです。 この被覆管の厚さは0.8〜0.9mm。ペレットの半径は約4mm、燃料棒の半径はやく6mm。ペレットの中心は2400度で、燃料棒の外側は280 度、6mm程度の間で約1700度近くの温度差があります。従って燃料棒を外からものすごい勢いで冷やしているわけです。もし冷却水が漏れて故障が起これ ば燃料棒はどんどん熱くなってしまいます。そして850度になるとジルコニウムは水と反応して燃え出して、放射能は外に漏れてきます。ジルコニウムが燃え ると水素が出来、水素爆発の危険がでてきます。スリーマイル原子力発電所事故では実際にこれが起きました。このようにジルコニウムを使うことは危険を伴いますが、他に適当な金属がないためにやむを得ず使っているのです。

■第3の壁、第4の壁、第5の壁?
「第3の壁、第4の壁、第5の壁があって万が一燃料棒を包んだ被覆管から放射性物質が漏れても放射能を閉じこめる」? 
分かりやすいようにという親切な配慮からか、原子炉につながっているすべての配管を省略して原子炉を閉じこめた絵が描いてあります。もしこのように原子炉が閉じこめられていたら、燃料を入れたり出したり、原子炉からタービンを回す蒸気を取り出したり、制御棒をコントロールしたり、冷却水を送り込んだり出来るわけがありません。実際にはこれらの目的のために何本もの太い管や細い管がこの壁を通っています。特に多いのは原子炉の下の部分で、ブレーキの役目をする制御棒の穴が100 個くらい、炉心の中性子をモニターするための穴が30個もあります。制御棒を入れるための管をハウジングといいます。浜岡原発の1号炉では、ハウジング と圧力容器との溶接部にひびが入っていてるものが多く、その一部から原子炉の水が漏れていました。もちろん水が漏れていれば放射能も漏れだします。
 本当の意味で最後の砦になるのは格納容器だけですが、常に強い放射線と高熱にさらされており脆化が進みます。従ってこれがどんな爆発にも耐えられるという保証はありません。スリーマイル島原発事故の時、水素爆発に耐えられたのは、近くに飛行場があるため、飛行機の追突に耐えられるように世界一頑丈に作られていたためでした。
燃料集合体は炉心シュラウドというステンレス製の直径5.6メートル、高さが6.7メートルもある大きな筒にすっぽりと包み込まれています。定期検査で この炉心シュラウドにひびが入っているのが見つかりましたが、原子力保安院も東電も2年以上もずっとその事実を隠しておいたことが分かり、大きな問題にな りました。
さらに「原子炉を密閉するための部屋」であるはずの建家で気密性テストとを行いましたが、東電と日立製作所はそのデータをごまかしていました。
このように五重の壁といっても、一つ一つ検討すると、多くの問題をかかえていて、安全とはほど遠いことが分かります。このような問題点を隠して安全と教えて良いものでしょうか。

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原子力発電は環境にやさしいか?


環境にやさしいとは、人間や他の生物が生きるのになじむ技術であるということだと思います。まずは、それを判断するのに必要な視点を整理しておきましょう。

■新たな忌避感覚(危険を察知して避けようとする感覚)の必要性

自殺をするのでもない限り、高いビルの上から飛び降りる人はいません。それは、数秒後に迫り来るリスクが感覚的に分かるからです。動物が生き残るために様々な忌避感覚をもつように、私たちも生来の忌避感覚に加えて,科学技術をもったことによるそれを身につけなければなりません。ただし、これを成功させるにも、科学技術のリスクが生じる要因をきちんとつかまなければなりません。ところが、科学技術のリスクは、時間的に遅れてきたり,その要因が五感に直接訴えないものが多く、一定の学習をしない限り忌避感覚が極めて働きにくいのです。原子力技術もその代表的なものの一つです。

■情報過多を克服する学習

今日、情報は過多と言えるほど氾濫していますが、情報の全体の中での位置づけが分からなければ、肝心の将来の命に関わるような事の重大さが、情報から読み取れません。この状態は、ルールを知り一定の訓練をしない限り、囲碁や将棋の話を何回聴いても、いつまでもそれらが上達しないのと同じです。私たちの手を離れた後は、事の成り行きは、この世界のルールである法則によって全て決まります。私たちは、個々の知識よりも、そのメカニズムが分かるようになることこそが大切なのです。情報過多を克服する学習方法とは、何から何を考えれば何が分かるか、この世界を一つのものとして認識する筋道をつかむことでもあります。これが分かりますと、当然のことですが、ほんの少しの学習をするだけで,驚くほどこの世界が見えてきます。

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■核反応の世界と化学反応の世界の違い

地球上で起こる物質変化の最小単位は、基本的には原子です。即ち、人間活動によって起きる部分も含めて、この地球上で様々な物質ができたり壊れたりするのは、原子から分子ができたり、逆に、分子が壊れて原子や他の分子になったりして、原子同士の組み替えが起きることによります。これは化学反応の世界です。それに対して、宇宙、特に,恒星の中で起きていることは,原子を構成している原子核ができたり壊れたりしている核反応の世界です。これは、化学反応に比べて、エネルギーにすると10の6乗倍の大きい世界の出来事です。運動エネルギーは、速さの2乗に比例しますので、速さにするとおよそ千倍ということになります。日常生活の中で、私たちが道具を使わずに出せる速さの千倍もの速さのものが飛んでくることを想像しますと、このエネルギーが、化学反応の世界にとって,いかに大きいものであるかが分かります。原子力は、核分裂反応を利用するわけですから、いかに私たちの手に負えない技術であるかが分かります。生命活動は、元来、核の安定性の上に成り立つものであることを肝に命ずべきなのです。

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■リスクを見る視点

それでは、科学技術のリスクの特徴から見ていくことにします。近代科学技術は、経済性と使用時の利便性を主に追求してきました。その反面、この世界の他の階層に与える影響については、あまり考えられていません。現在の科学技術のリスクは、使用者のみに止まらず、空間的には地球規模まで広域に及び、時間的には、次の世代にまで及ぶという特徴をもっています。リスクには、各種の事故や災害,戦争による殺戮・環境破壊など、一瞬にして遭遇してしまうものと、いわゆる化学物質及び人工放射性物質による人体汚染など、じわじわと被るものがあります。
人工放射性元素は、体内に入ると化学的性質の類似性から、元素により特定の部位に蓄積され高濃度となって放射線を出し続けます。これらの粒子線や電磁波は、エネルギーが高く、人体の構成分子から無差別に電子をたたき出します。これは、生体分子そのものの破壊を意味します。
物質の濃度と温度は、部分的にはその周囲より高くなったり低くなったりしますが、それを取り囲む全体で考えますと、必ず平均化する方へ向かいます。日常ごくありふれた拡散や熱伝導などの現象だけでなく、環境問題などの広範囲で起きる全ての現象の背後で、いつもこのことが起きています。それ故、あらゆる科学技術の生産過程、使用中、廃棄後にどのような濃度や温度の平均化が起きるかに注目し、その対策を考えることが必要なのです。よく原子力は炭酸ガスを出さないと言われますが、それは、核分裂反応を利用した原理そのものの部分についてのことです。私たちは、その原理を実現させるのに必要な技術全体にわたって、炭酸ガスの排出について考えなければならないのです。
濃度の平均化には、化学物質と並んで、原子力発電所・核兵器から出される放射性物質のように二次的に排出される人工物質があります。しかも,濃度は単に平均化するだけでなく、食物連鎖の法則により生物濃縮され、いずれ私たちの食卓に上がります。また、温度の平均化には、原子力発電による熱汚染があります。

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■リサイクルでは解決しない原子力発電

仮に私たちの使う電気の約三割が原子力発電所から来ているとします。しかし、だからといって、即私たちの使う電気が原子力に三割依存していると考えるのは余りに早計です。発電を可能にすることから後始末に至るまでに投入される主に化石燃料由来のエネルギーを、発電法毎につぶさに検討して初めてそのような比較が可能となります。従って、「原子力か化石燃料か」という議論は、形式上は成り立ちますが、不毛の議論であることがすぐに分かります。
社団法人家庭電気文化会から各小学校に送られて来る「電気のはなし」の中の「しげん別の発電量のわり合」には、あたかも、原子力発電がウランだけに依存しているかのようなグラフが描かれています。もちろんそんなことはないわけです。原子力発電の場合、放射性廃棄物の長年の管理や大事故で生じる潜在的な核廃棄物の拡散対策を考えますと、もはや採算の取れないものであることを関係者自身が公言するようになりました。かといって、リサイクルをすれば、その工程でおびただしい量の放射性物質の拡散が起こり、「リサイクルでは解決しない」ものの代表となってしまいます。このような原子力発電に頼らないようにするには、肝心の大量浪費生活そのものを改めることを忘れてなりません。あくまで、全ての科学技術の生産から廃棄までの全過程において、最終的にどのような濃度と温度の平均化が起きるのかをつねに見定められることが必要なのです。

以上のことから、「原子力発電は環境にやさしい」とは、とても言えないようです。

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ほんとはいくらかかるの?

■バックエンド事業

原子力発電所で、燃料製造・発電所建設・運転などの「フロントエンド事業」に対し、原子炉の廃炉費用や放射性廃棄物の処理、核燃料サイクルにかかわる事業を「バックエンド事業」と呼んでいます。このうち、すでに手当のすんでいるのが廃炉費用です。1989年より電力料金の中から、各電力会社が積み立てて廃炉に備えています。

■廃炉費用・・・・ほんとはいくらかかるの?

日本原子力発電(電力会社9社が出資する企業)によると、標準的な原子炉1基の解体から放射性廃棄物の処分までに必要な廃炉費用が、2002年6月の段階で約550億円といわれていました。これだけで現在52基ある商用原発をすべて廃炉にするとなると、約3兆円かかることになります。これは東海第二原発・出力111.1万kwをモデルにした試算で、モデルでは解体費用が388億円、原子炉圧力容器などの放射性廃棄物の処理・処分費用が157億円、合計で545億円という見積もりを根拠にしています。
しかし、実際に解体が始まっている、東海原発出力16.6万kwの場合、解体に約350億円、廃棄物の処分に約580億円、合わせて何と約930億円もの見積もりがなされています。 初めての廃炉処理ですから、いろいろなことを試しながらやるにしても、あまりにも見積もりがいい加減にすぎるのではないでしょうか。実際に100万kwの原発を廃炉にするのにはどれくらいの費用がかかるのか。今稼働中の原発すべての解体費用は? それに伴う積立金はいくら必要なのか? そして、我々の負担は、どれくらい増えるのか、とてつもないツケがまわってきそうです。

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■燃料再処理・・・・半分だけね?

使用済み核燃料の処理・再処理をめぐって、2003年に電気事業連合会は費用の見積もりを今後80年間にわたり総額18.8兆円と試算しました。 うち再処理事業費用が11兆円,高レベル放射性廃棄物処分に係る拠出金は2.6兆円。見積もりは,今後40年間までに発生する使用済核燃料のうち,約半数の約3.2万トンを六ヶ所再処理工場で再処理,残りの約3.4万トンは中間貯蔵にまわすという想定で行われています。

18.8兆円のうち,MOX燃料加工費用,ウラン濃縮工場バックエンド費用は,燃料加工に関わるのでフロントエンドとし、中間貯蔵費用も再処理に直接関る費用ではないので今回の措置の対象からははずすようです。したがって、このバックエンド事業の対象は,15.1兆円となるようです。この、MOX燃料というのは、原子炉でプルサーマルを行うための燃料です。現実には、そのプルサーマルの試験を行おうとすると、データ改ざんなどの不祥事も重なって原発地元で反対運動が起き、試験すら行えない状況が続いています。

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■負担者はだれか

15.1兆円については,電気利用者から徴収することになるそうです。これまでに発電した分の処理費用、2.7兆円については、これから特定規模電気事業者(民間の発電事業者)の利用者からも徴収するという仕組みだそうです。つまり国民すべてが負担するということでしょうか。これまで、さんざん原発の低コストを訴えてきたのですから、電気事業者が負担してもおかしくないとはおもうのですが、このあたりで電力会社も本音が見えてきました。

例えていえば、大食漢が自分勝手に(制止の声も振り切って)これまでさんざん飲み食いしてため込んだ代金請求を、今店に入ってきたばかりの新しいお客(特定規模電気事業者*)にも一緒になって払わせようとするようなものです。しかも、こうした理不尽な仕組みが、「電気の安定供給」ということを錦の御旗に、まかり通ってしまう状況は、恐ろしいといわざるを得ません。

*特定規模電気事業者:1999年度の改正電気事業法(2000年3月21日施行)により新たに認められた事業で、電気の小売自由化の対象需要家に電力会社の電線路を使って電気を供給する電気事業です。

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■予測不能 未来へのツケ

現段階の技術では正確な試算が不可能な費用もあります。将来費用が高騰しそうなものとして、例えば、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体やTRU(超ウラン)廃棄物の地層処分の費用です。この技術は世界でもまだ確立したとはいえません。なんとなくこんな風にできるという構想はあるものの、実証されていませんから、今の段階で経費を見積もってもその妥当性を判断することは困難だとおもわれます。特にTRU廃棄物については、まだ何の制度もできていません。どこまで地層処分にするのか,放射能レベルも決まっていないのに正確な見積もりが出せるとは思えません。そもそも、これら廃棄物の処理が本格化するのは、数十年後、放射能レベルをある程度下げてからのことです。「タイムラグ」があると表現されていますが、その間の物価変動のみならず、社会情勢の変化は想像の域を超えることでしょう。基本的に未来の世代に大きな負担を強いることには代わりありません。

■今は「資源」、でも将来は「ゴミ」・・・明らかに含まれていない費用。 

今回の試算にはウラン濃縮過程で発生する劣化ウランや再処理過程で発生する回収ウランの処分費用は入っていません。将来再利用することを考えて「資源・資産」ということになっているようです。しかし、再利用するためには、そのための技術開発・設備投資に六ヶ所村の再処理工場に匹敵するような巨額の投資が必要になるはずです。しかも、利用できるU235の密度は低いため、再利用される割合はきわめて少なく、その分コストはかかります。技術的な困難も相当なものになるのではないでしょうか。結局は廃棄物として処分することになる可能性が高いと考えられます。今回の試算には、廃棄物として処理する費用はもちろんのこと、貯蔵するための費用も見積もられているのでしょうか。

再処理をしてつくられたプルトニウムのMOX燃料は、一度きりの使用で使用済みになります。しかし、そのMOX燃料をさらに再処理するとすれば、別タイプの再処理工場が必要になり、その建設費用など含めると費用は30兆円ほどにもなるというのです。使用済みのMOX燃料は、再処理後の高レベル放射性廃棄物ガラス固化体に比べると発熱量が6倍ほどにもなり、50年間冷ましたガラス固化体と同レベルにまで冷ますには数百年はかかります。(朝日新聞より)その間、必要となる保管に関わる費用は、今回の試算には含まれていないようです。この使用済みMOX燃料も、将来のために「資源」として貯蔵するというのでしょうか。

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よくわかる原子力-電力政策の問題点(原子力教育を考える会)ホームページより
http://www.nuketext.org/mondaiten.html


参考資料
『6,000,000,000 人のエネルギーと地球環境』エネルギー環境教育センター制作(経済産業省資源エネルギー庁の委託による)2002年
『サイエンスキッズ』NO.16 号、東京電力 2001 年春
『下北半島六ヶ所村 核燃料サイクル施設批判』高木仁三郎著 七つ森書館 1991年
『原子力市民年鑑2004』原子力資料情報室 七つ森書館 2004 年
『止めよう再処理』原子力資料情報室パンフレット 2002年
ホームページ
高木学校原子力問題研究グループ
 http://www.jca.apc.org/takasas/gen/index_gen.html
原子力資料情報室 http://cnic.jp/

『原子力』図面集 日本原子力文化振興財団
『反原発出前します』反原発出前のお店・編 高木仁三郎・監修 七つ森書館 1993年
『海の声を聞く』市民論文「北海道泊原子力発電所における温排水による沿岸水温の上昇について」 斉藤武一著 七つ森書館 2003年
『原発事故 その時あなたは!』 瀬尾健著 風媒社 1996年

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過去を見つめ想像力を働かせることが明日へとそして人間的な未来へとつながっていきます。

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なぜ隠蔽と嘘を重ねるのか?