60年前にあって今はないもの

 

大阪市内のあちこちに空き地があって
子供たちの運動と冒険心を
満たすには十分な空間でした

もぐら、バッタなどの昆虫もいて
よく見れば珍しい王冠や
きれいなガラス玉なども落ちていて
そこはまさに好奇心の宝庫

今はほとんど消失してしまったけれど
どの町にもあった市場は人波が絶えず
八百屋、魚屋の威勢のいいかけ声が響きます

輸入肉などなかったから
牛、豚、鶏肉は全て国産で

養殖などなかったから
魚は全て天然もの

鯨肉の専門店などもあって
今から思えば豊かな食環境でした

路地で将棋や碁をする大人たち
その横でビー玉やベッタンで遊ぶ子供たち

時間はゆっくりと流れていました

 

あれから60年

生活の全てが
比較にならないぐらい便利になって
豊かになって万々歳のはずなのに

どこかゆとり無く
どこか貧しげで
どこか不安げでもある今の社会

ゆたかさは
もしかしたら勘違い
それとも錯覚なの
と問いかけたい気持ちにもなります