ヒューマニスト43
<その人の指向性、価値観、生き方、考え方>


<なだいなだ>

 

なだ いなだ(1929年6月8日 - 2013年6月6日)は、精神科医・作家・評論家。日本テレビ放送番組審議会委員。本名は堀内 秀(しげる)。「なだいなだ」はペンネームで、スペイン語の "nada y nada"(何もなくて、何もない)に由来する。小説家としては1959年から1967年にかけて、「海」「帽子を…」「神話」「トンネル」「童話」「しおれし花飾りのごとく」の6作で芥川賞にのぼるが、いずれも落選している。これは阿部昭、増田みず子、島田雅彦らとともに最多落選記録である。医師としての専門は精神科で、アルコール中毒(現在のアルコール依存症)をメインテーマとしていた。井の頭病院を経て国立療養所久里浜病院に勤務。1961年に慶應義塾大学で博士号取得。題は「非定型的循環病を中心としたいわゆる内因性精神病に関する考察」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/なだいなだ

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〈時の回廊〉なだいなだ「権威と権力」 まず自由であること(2011年7月15日朝日新聞)
政府や国家といった公の場面だけでなく、家庭や学校での身近な人間関係から自由と支配の関係を読み解いた、なだいなだ『権威と権力』(岩波新書、1974年)は、現在も版を重ねるロングセラーだ。原発事故以降は特に、「専門家の権威」は揺らいでいる。権威や権力によりかからなくても、人間はやっていけるのか。そのヒントがこの本にある。 権威は、権威を受け取る側の心の中にあります。原発事故の後、政府が発表する数字をまったく信用しない人たちがいまや大勢います。そんなものは信用しないで、自分たちで考えようという人たちです。信用というのも、一種の権威ですよね。権威というのは過去の信用が積みかさねられてつくられたものでもあります。そこで政府の権威や信用がますます低下していくことを危惧する人もいるようですが、しかし、私はそうは考えない。私が重視しているのは常識、コモンセンスです。トマス・ペインが書いた『コモンセンス』は、独立革命でアメリカをつくった理念ですね。大衆というものは、バカの集まりだと見る人もいるかもしれないが、しかし大衆の中にあるコモンセンスこそ、民主主義を信用する足がかりだと私は思います。

人間は、自主的に自分たちのコモンセンスを使って、自分たちの生き方を管理することができるんです。刑法がなければ社会はめちゃくちゃになるかというと、そうではないでしょう。私は刑法に触れたことはないけれども、刑法なんか読んだこともないから何が書いてあるか知りませんよ。大部分の人は、法律を知らなくたって、罪を犯したりはしないものです。人間を信用しなさい、ということですよ。実を言うと、『権威と権力』はアナーキストの理想を描いたものだったんです。権威による支配も権力による強制もなく放っておいたら、人間はとんでもないことをする、という信念の持ち主も、もちろんたくさんいる。しかしそういう人とでも、実績を示すことによって分かり合えます。

たとえば私がやってきたアルコール依存の治療は、鍵をかけないで病室を開放する、あるいは入院すらさせないで外来で診療する。ちゃんとやれるんです。アルコール依存は、誰かが治してやれるものではなく、本人自身の問題です。自分が努力しなければいけないということを理解するためには、まず自由であることが大切なのです。医者が強制して考えろと言っても、患者さんは考えません。しかし人間は一人ではない。自分が考えたことをしゃべる時、それを聞いてくれる誰かがいる。人間と人間が孤立していない関係がある限り、人間はそこそこ自由にしてもやっていけると考えています。

この本を書いてから、もう40年近くが経ちます。この本で私は「永遠のかなたにあって、ぼくたちに、進路をおしえる、みちびきの星」としての理想を語りました。目標というのは、必ずしもそこに到達しなくてもいい。私の祖母は、親の決めた結婚をし、文字を読むこともできず10人の子どもを産み、一生同じ農村から出ることなく死にました。祖父母の時代から、どれだけ人間は自由になれたかと思います。私は少なくとも日本は、明治の初めごろから比べるとだいぶよくなっているよ、と若い人には言っているんです。

本当の楽観主義者というのは、楽観する余地がないときでも、ほんのわずかでも希望があればそれに賭ける人間です。この本の結びにも書いたとおり、私は楽観主義者なんですよ。(聞き手・樋口大二)

    ◇

なだ・いなだ 1929年、東京都生まれ。精神科医、作家。著書に『お医者さん』『れとると』など。2003年、インターネット上の仮想政党「老人党」を創設し、活動中。
http://book.asahi.com/clip/TKY201107140376.html

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(CM天気図)「強い国」か「賢い国」か 天野祐吉
自民党のスローガン「強い国」に対抗できるのは「賢い国」しかない。そう言っていたなだいなださんが亡くなった。とても大切な人を失ってしまったという思いが強い。なださんは、この前の総選挙で、このスローガンを野党に使ってほしい、それも野党の共同スローガンにして戦ってほしいと思っていたようだ。そうはならなかったが、だが、どうしてそうはならないのか。もちろん、全野党でなくていい。原発問題や改憲問題で同じ考えを持つ野党が「賢い国」を共通スローガンにして選挙を戦うことは、本当にできないんだろうか。そういうことはできないと、決めてかかっているからできないんじゃないだろうか。安倍さんは、先日のフランス大統領との共同声明で、原発技術の共同開発を進めるとか、原発の輸出や武器づくりにも協力してあたるとか、威勢のいい発言をしていた。が、驚くにはあたらない。原発も武器も「強い国」には必要なものばかりだ。まず、「強い国」になるには、最先端の武器をそろえるお金がいる。それには強引な経済成長が必要である。それには原発の再稼働が欠かせないというのが、強い国の宰相の考えなんだろう。それにくらべたら「賢い国」になるためには、とくにお金はいらない。知恵と品性があればいい。そんなことをいまの政党に求めても無理に決まっているじゃないかと、決めつけることはない。なださんが望んだように、原発問題や改憲問題で手を組める野党が、共通のスローガンで戦うのもそのための第一歩になるだろう。「賢い国民は賢い政党を選ぶ」となださんは言った。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306110652.html?ref=comkiji_redirect

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作家・精神科医のなだいなださん死去 「権威と権力」
小説、評論、エッセーなど幅広い文筆活動で知られた作家・精神科医のなだいなだ(本名・堀内秀=ほりうち・しげる)さんが死去したことが、9日分かった。83歳だった。「権威と権力」 まず自由であること慶応大医学部卒。フランス留学後、精神科医としてアルコール依存症の治療などに取り組むかたわら、同人誌「文芸首都」に参加。スペイン語で「何もなくて何もない」を意味するペンネームで、文筆活動を続けた。小説に「帽子を…」「影の部分」「れとると」など。「海」などで6度、芥川賞候補になった。温かみのある筆致、ユニークな発想の文明批評でも人気を博し、娘にあてて書かれたエッセー「パパのおくりもの」や、ロングセラーの「権威と権力」、「人間、この非人間的なもの」など多数の著作がある。1970年「お医者さん」で毎日出版文化賞受賞。
晩年は神奈川県鎌倉市で執筆活動に専念する一方、2003年にインターネット上の仮想政党「老人党」を立ち上げ、ホームページで弱者が暮らしやすい社会づくりや平和を訴えた。本人のブログによるとがんで闘病中で、5月末には「がんとの付き合いで、なんとか頑張っていますが、白状すると、ちょっときつい」と記していた。


〈作家で精神科医の加賀乙彦さんの話〉 昨夏に軽井沢の高原文庫で開いた北杜夫展に参加してもらったのが最後になりました。いつもとちっとも変わらず、ユーモラスだった。なだと僕は同い年生まれで、境遇も似ていて、何かあれば電話をかけあっていました。「パパのおくりもの」以降の彼のエッセーはすばらしかった。鋭い社会批評で、時代時代の一番の欠点をついていた。晩年に彼がつくった「老人党」には僕も引き込まれて。なだのエッセーを集めれば、それがそのまま時代史になるという気がします。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306090036.html

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井上ひさし没後1年 九条語る会開催(2011年4月5日朝日新聞)
作家・劇作家の井上ひさしが亡くなって1周年の9日、「井上ひさしの言葉を心にきざんで」と題した講演会が神奈川県鎌倉市で開かれる。井上が呼びかけ人の一人だった「鎌倉・九条の会」が主催。同じく呼びかけ人の経済評論家・内橋克人と作家・なだいなだに加え、作家の大江健三郎が、「九条を文学の言葉として」の題で話す。

 午後7時から鎌倉芸術館大ホール(JR大船)で。入場料900円(高校生以下500円)。申し込みはFAX(0467・60・5410)またはメールでiza@kamakura9−jo.jpへ。問い合わせは鎌倉・九条の会(0467・24・6596)。
http://book.asahi.com/news/TKY201104050150.html

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