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<POINT NEWS78>2015/01/25・・・(ヒューマニズムの視点で捉えよう、判断しよう)

記憶のために/LIST

sankaku78sankaku
2015/01/25sankaku01/30

日々のニュースは数えきれないほどあります。その1つ1つが今の社会の要素であり現実です。ここに拾い上げたニュースはごくごく一部でしかありませんが、忘れてはいけない出来事も多くあります。未来のその時を考えるための「記憶のために」少しでも記録したいと思います。


 

妻が「最後のチャンス」訴え 邦人人質事件、期限過ぎ情報なし(2015/01/30東京新聞)
【アンマン共同】中東の過激派「イスラム国」を名乗るグループがフリージャーナリストの後藤健二さん(47)を拘束、解放条件として女死刑囚の釈放を求めた事件で、後藤さんの妻は29日夜、解放に残された時間は少なく、これが「最後のチャンス」かもしれないと訴える声明を英語の音声と文書で公表した。犯行グループから女死刑囚の釈放を世界に訴えるよう要求されたことも明らかにした。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015013001001032.html

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憂楽帳:歌おう憲法(毎日新聞 2015年01月30日)
高校1年生のとき、現代社会のテストで赤点が続出し、クラスの大半が追試を受けるはめになった。出題範囲は憲法。担当教師は試験対策として1枚のレコード盤を私たちに提供した。30年も前のことだ。それがシンガー・ソングライター、きたがわてつさんの「日本国憲法前文」。ふと思い立って憲法前文に3カ月がかりで曲をつけ、1983年に発表した。最初は反応がいま一つだったが、当時の中曽根康弘首相が「戦後政治の総決算」路線を進めるにつれ、みるみる共感が広がった。「だから中曽根さんにヒットさせてもらったようなもの」と笑う。もともとはあまりメッセージ性のない軟派な歌手だったと謙遜するきたがわさん。それが今では「なんて過激なやつ」と驚かれることも少なくない。「僕自身は変わらないのに、時代の方が変わった」61歳。「憲法と平和の大切さをまだまだ歌い足りない」となお意気軒高だ。それもそのはず。憲法問題はまさに現在進行形なのだから。【中田卓二】
http://mainichi.jp/opinion/news/20150130k0000e070265000c.html

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「健二と娘、再会を」 「後藤さんの妻」英語で声明 「イスラム国」人質事件(2015/01/30朝日新聞)
「イスラム国」に人質として拘束されている後藤健二さん(47)の妻の名前の声明が29日出され、「娘が再び父親に会えることを願っています」と述べて、夫の命を救うよう懇願した。拘束したグループとの電子メールのやりとりは数通に上り、過去20時間の間に殺害をほのめかす脅しが届いたことも明かした。・・・ 妻は、後藤さんが拘束されたことを昨年12月2日、犯行グループからの電子メールで知った。身代金2億ドルを要求する映像が公開された1月20日以降は後藤さんの救出に向けて複数回のやりとりをした。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11576810.html

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(声)「自己責任論」は公正な態度か(2015/01/30朝日新聞)大学生 武田啓亮(茨城県 22)

過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件で、日本国内では「危険だと知りながら行ったのだから自己責任だ」という声が聞こえる。2004年のイラク戦争で、日本人が武装勢力に拘束されたときにも同様のことがあった。しかしながら、一部の人が口にする「自己責任」と、後藤健二さんらジャーナリストが語るそれとでは、大きな違いがあるように思う。確かに、後藤さん本人は「何が起こっても責任は私自身にあります」と語る映像を事前に残していたようだ。だが、ジャーナリストの言葉には、理不尽な現状をより多くの人に伝えようという覚悟とでもいうべきものがある。一方で、声高に「自己責任論」を主張する人の言葉からは「自分たちは関係ないのに迷惑をかけるな」「日本政府は人質を救う必要はない」と言わんばかりの拒絶のニュアンスを感じる。紛争地の現状など、私たちが遠く離れた地について知ることができるのは、彼らが命を賭して報道するからだ。伝える人がいなければ、現実は伝わらないのだ。そういった事実を無視して、自己責任論を唱えてほおかむりを決め込もうとするのは、公正な態度か。それこそ無責任ではないだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11576688.html

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(声)平和国家としての信頼を守ろう(2015/01/30朝日新聞)大学名誉教授 飯高京子(東京都 78)

「イスラム国」の日本人人質事件の背景には、これまで培ってきた平和国家・日本への国際的信頼が揺らいでいる現状があるのではないか。そう思うのには、私のアフリカでの体験がある。2013年にアフリカのコンゴ共和国を訪れた。国際紛争解決に非暴力・和解の精神で取り組む団体「国際友和会」の理事会に、アジア地区理事として参加した。現地の大学生たちは、私が日本人と知ると目を輝かせて「日本は戦争をしない国」と語りかけてきた。一方で「日本は広島、長崎に原爆が投下され、福島で原発事故があったのに、なぜ原発の再稼働や輸出を許すのか」と鋭い質問もしてきた。日本への信頼が揺らいでいると感じた瞬間だった。うれしいこともあった。道中に滞在したエチオピアのホテル従業員は「日本人は戦争をしないから好き」と笑顔で握手を求めてきた。彼らはインターネットを通して、日本の状況をよく知っている。憲法9条の「戦争放棄」への理解が深く、日本人に親しみと信頼を抱いていた。日本人を守ってくれるのは、平和国家であるという評価なのだ。この信頼を手放してはならない。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11576690.html

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(お仕事 日本遺産:4)活動写真弁士・片岡一郎さん 語り芸、次代につなぐ(2015/01/30朝日新聞)
 〈とある海を見渡す岩山に……〉。着物姿の活動写真弁士の片岡一郎さん(37)が、張りのある声で語り始めた。東京都千代田区の神保町シアターで上映された無声映画「武士道」。1920年代に日独で合作された異色の時代劇だ。映画に出てくる西洋人の将校から、年老いた民百姓、遊郭の花魁(おいらん)まで、登場人物の声音を使い分けてセリフを読んだり、ナレーションを加えたりする。・・・ 弁士と出会ったのは、浪人生のころ。ひいきの劇団の公演で、無声映画が同時上映された。弁士界の第一人者、澤登翠(さわとみどり)さんの語りの迫力に鳥肌が立った。「弁士が映画と一体となり、その声に引きずられ、観客の僕が作品にのめり込んでいく。これだ、と思った」・・・ 無声映画を中心に約1千作の古典映画を所有する「マツダ映画社」(東京)の松戸誠専務によると、無声映画(活動写真)は1896年に日本で初めて上映された。大正〜昭和初期に大流行し、活動写真弁士の数は最盛時には7千〜8千人ほどにのぼった。娯楽の少ない時代のアイドル的存在で、「人気のある弁士の収入は首相よりも高い」と言われた。 無声映画は、昭和初期にトーキー映画にとって代わられ、今は新作がつくられることはほとんどない。旧作の特集が組まれるミニシアター系の映画館や各地の映画祭が、弁士の活躍の場だ。定期的に弁士の活動をしているのは、今や十数人程度で、その多くが声優や役者などをかけ持ちする。松戸専務は「独特の『語り芸』が受け入れられ、若い世代のファンも少しずつ増えている」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11576715.html

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「イスラム国」人質:中尉生存いまだ不明 日没後沈黙(毎日新聞 2015年01月30日)
【カイロ秋山信一、アンマン田中龍士、パリ宮川裕章】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)にフリージャーナリストの後藤健二さん(47)が拘束された事件で、ISとみられるグループがヨルダンで収監されているサジダ・リシャウィ死刑囚の引き渡し期限としていた29日の日没(日本時間同日深夜〜30日未明)から12時間以上過ぎた今も、IS側から公式な反応はなく、死刑囚との交換が提示されていた後藤さんに関する情報も明らかになっていない。
http://mainichi.jp/select/news/20150130k0000e030229000c.html

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社説:汚染水処理 態勢整え着実に進めよ(毎日新聞 2015年01月30日)
東京電力福島第1原発の汚染水対策が、一筋縄ではいかないことが改めて浮き彫りになった。東電は、同原発に保管中の高濃度汚染水について、目標としていた今年度中の全量浄化処理を断念した。放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS」が想定通りに稼働していないためだ。今後の廃炉作業にも影響が及びかねない事態である。政府・東電は問題点を洗い出し、処理を着実に進める必要がある。福島第1原発の敷地内には汚染水を保管するタンクが林立する。まるで石油備蓄基地のようだ。同原発では、地下水が建屋に流入して溶け落ちた核燃料に触れ、汚染水が1日約300〜400トンずつ発生している。高濃度汚染水をタンクにため続けると、漏えいのリスクが増す。強い放射線を出すため、作業員の被ばくにつながる。東電はALPSなどで処理してきたが、27万トン余りが未処理のままだ。・・・今月、福島第1原発と第2原発で労災死亡事故が続けて起きた。安全管理の緊急点検のため、第1原発では事故の収束作業の中断が続く。第1原発の作業員は1日当たり約7000人に上る。遮水壁の建設などに伴い、2年前に比べ倍増した。労災が相次ぐようでは、廃炉作業も進まない。作業員の安全性確保は、最優先の課題だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20150130k0000m070168000c.html

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邦人人質事件  後藤さんの救出を祈る(2015/01/29京都新聞)
過激派「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さんを人質とした事件で、ヨルダン政府のメディア担当相は、イスラム国に拘束されているヨルダン軍のパイロットを解放すれば、犯人側が求めるサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると述べた。だが、後藤さんへの言及はなく、安否が気遣われる。捕らわれている人たちが元気な姿で帰ってくることを祈るばかりだ。後藤さんの新たな音声付き画像声明がインターネット上で公開されたのは27日深夜。「私には24時間しか残されていない」と訴えるとともに、後藤さんとリシャウィ死刑囚の1対1の交換を急ぐよう重ねて要求。これ以上遅れれば、パイロット、次に後藤さんが殺害されるとしていた。これに対し、ヨルダン政府はパイロットと後藤さんの2人の一括解放を求め、イスラム国と交渉を続けているとみられるが、詳細は不明だ。・・・日本はイスラム国爆撃に踏み切った米欧とは一線を画し、非軍事分野の人道支援に徹する中東外交を進めてきたが、イスラム国包囲網の一員とみなされ、今後もテロの標的にされる恐れがある。後藤さんの解放に全力を注ぐとともに、中東・北アフリカの国々との関係を深めるなど危機管理対応の強化も急ぐ必要がある。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150129_4.html

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アウシュビッツ  今なお問いを突きつけ(2015/01/29京都新聞)
アウシュビッツ強制収容所は今もなお、わたしたちに根源的な問いを突きつけている。なぜ、人間は人種や民族の違いで壁をつくり、あげくの果てに残虐な殺りくを繰り返すのか。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツによって110万人以上のユダヤ人らが殺害されたアウシュビッツ強制収容所。ソ連軍によって解放されて70年を迎えた。ポーランド南部の現地で開かれた追悼式典で、生き残った元収容者の女性は「髪の毛をそられ、棒のような足をした収容者、遺体を焼く炎。何ひとつ人間味を感じられるものはなかった」と悪夢をふり返っている。・・・ドイツのメルケル首相は「わが国の汚点だ」として、「反ユダヤ主義に立ち向かうのは、市民と国家の義務だ」とさえ言う。「私は生きる限り、ドイツが人類に対して大変な罪を犯したことに苦しみ続けるだろう」とはガウク独大統領の演説だ。安倍晋三首相はイスラエル訪問中、ホロコースト記念館で「悲劇を二度と繰り返してはならない」とスピーチした。安倍氏は戦後70年の節目に新たな談話を出すとしているが、戦後ドイツのように加害者としての歴史と責任を直視できるのか。覚悟も要るだろう。アウシュビッツの大虐殺は、常軌を逸した言語を絶する所業だが、実は職務に忠実な、ふだん平凡な者たちによって遂行されたとの指摘を受け止める必要があろう。わたしたちもまた、アウシュビッツの問いから逃れられない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150130_4.html

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(論壇時評)熱狂の陰の孤独 「表現の自由」を叫ぶ前に 作家・高橋源一郎(2015/01/29朝日新聞)
イスラム過激派組織「イスラム国」に、ふたりの日本人が人質として捕らえられた。いまわたしがこの文章を書いている火曜深夜、事態は流動的だ。爆笑問題の太田光はこの事件に関し、報道の問題として「黙ることが必要なときもあるんじゃないか」とテレビで語った。太田光が沈黙を求めたほんとうの理由はわからない。けれど、いまのわたしは同じことを感じている。・・・ 動画を見た。オレンジの「拘束衣」を着せられ、跪(ひざまず)かされ、自分の死について語る男の声をすぐ横で聞かされながら、ふたりはなにを考えていたのだろうか。その思いが初めにある。「意見」はその後だ。同時代の誰よりも鋭く、考え抜かれた意見の持ち主であったにもかかわらず、スーザン・ソンタグは、「意見」を持つことに慎重だった。

「意見というものの困った点は、私たちはそれに固着しがちだという点である……何ごとであれ、そこにはつねに、それ以上のことがある。どんな出来事でも、ほかにも出来事がある」・・・ やはりイスラム過激派によるテロがフランスで起こった。「預言者ムハンマド」の風刺画を出した週刊紙「シャルリー・エブド」編集部が襲撃され、十数人が亡くなった。「表現の自由」が侵害されたとしてフランス中が愛国の感情に沸き立つ中で、フランスを代表する知の人、エマニュエル・トッドは、インタビューにこう答えた。「私も言論の自由が民主主義の柱だと考える。だが、ムハンマドやイエスを愚弄(ぐろう)し続ける『シャルリー・エブド』のあり方は、不信の時代では、有効ではないと思う。移民の若者がかろうじて手にしたささやかなものに唾(つば)を吐きかけるような行為だ。ところがフランスは今、『私はシャルリーだ』と名乗り、犠牲者たちと共にある。私は感情に流されて、理性を失いたくない。今、フランスで発言すれば、『テロリストにくみする』と受けとめられ、袋だたきに遭うだろう。だからフランスでは取材に応じていない。独りぼっちの気分だ」・・・ヨーロッパの移民社会の若者たちは貧困と差別の中で、行き場を失いつつある。明るい希望がないなら、せめての希望は、自分を受け入れない豊かな社会が壊れる情景を見ること、となるだろう。この、社会の深刻な分裂を糧にして、移民を排斥する極右は不気味に支持を伸ばしている。だが、これらすべては、わたしたち日本人にとって「対岸の火事」ではない。この国でも、貧困と差別は確実に拡大しつづけているのだから。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11574914.html?iref=comtop_pickup_01

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ピルグリム原発、停電で緊急停止 米マサチューセッツ(2015/01/29朝日新聞)
 米原子力規制委員会(NRC)は27日、米マサチューセッツ州のピルグリム原発(出力68万キロワット)が、悪天候によるとみられる停電で緊急停止したと発表した。原発に外部から電気を供給する電源の一部が失われたが、非常用電源を使って原子炉を安全に冷却できているとしている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11574924.html

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(声)貧困なくしテロなき世界に(2015/01/29朝日新聞)無職 山際泰男(三重県 64)

「イスラム国」に人質となっていた湯川遥菜さんが殺害されたとみられる画像が、インターネットで流れた。その残虐性に恐怖を感じたのは、私だけではないだろう。自らの主張を優先して、善良な他人を巻き込んで社会を混乱させるテロ行為がいかに愚かなことか。「イスラム国」のメンバーには早く悟ってほしい。米同時多発テロ事件の首謀者として、国際テロ組織アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン容疑者が2011年に殺害され、テロがなくなることを期待した。だが、その後もテロは頻繁に起きている。なぜ、テロはなくならないのか。最大の原因は「貧困と格差」にあると思う。これが、テロの戦闘員を生んでいるのだ。「イスラム国」への空爆だけではテロはなくならないだろう。「貧困と格差」を少しでも和らげることが「テロのない社会」の実現につながるのだ。日本が表明した2億ドルの人道支援が「イスラム国」を刺激し、今回の人質事件を招いたとする意見がある。しかし、この2億ドルは周辺国に逃れた難民・避難民の「命をつなぐ」ための支援である。貧困と格差の緩和のためにも、支援そのものは間違いではないと思う。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11574905.html

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(声)高齢者が階段使うあべこべさ(2015/01/29朝日新聞)地方公務員 荒井きよみ(千葉県 42)

エスカレーターを歩く習慣はなくなればいいという意見に賛成です。歩きたい方は階段を使えばいいと思うからです。以前、通勤時間帯のエスカレーターが混んでいるとき、ゆっくり行動したい高齢者の方が階段を使用しているという、あべこべな状況を目にしました。エレベーターにも、健康そうな人たちが列をつくっていました。本当に使いたい必要のある人がエスカレーターなどを使えていないと気づきました。私は、病気の後遺症で階段を素早く上ったり下りたりすることができないので、混雑をやり過ごしてから階段を使います。なぜなら、動きのぎこちない左手ではなく、右手で手すりにつかまりたいからです。混雑時のエスカレーターの右側は、専ら急ぐ人たちが歩いていかれるので使えません。元気だったころは、私も他人のことに無関心だったので、大きな声では言えません。しかし、一人ひとりがもう少し想像力を働かせ、譲り合い、本当にエスカレーターを必要としている人が安心して使えるようになればいいと思います。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11574909.html

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(あすを探る 社会)「対テロ」、多様な視点示せ 森達也(2015/01/29朝日新聞)
仏週刊新聞シャルリー・エブドへの襲撃事件直後、テロに抗議する大規模なデモ行進が行われたフランスに、世界40カ国以上の首脳が駆けつけた。「私はシャルリー」と書かれたプラカードを掲げながら「表現の自由を守れ」と叫ぶデモの様子は、最前列で腕を組みながら歩く各国首脳たちの映像と相まって、世界中に連帯の強さを印象づけた。対テロの姿勢は正しい。でもスローガンには違和感がある。表現の自由とは、これを抑圧する政治権力やシステムに対して行使すべき概念だ。その表現によって傷つく人がいるならば、無制限に行使されるべきではない。向きがまったく違う。さらに実のところ各国首脳たちは、デモの最前列を歩いてなどいなかった。デモ翌日の英インディペンデント紙(電子版)に、首脳たちの行進を少し上から撮った写真が掲載された。見た人は仰天したはずだ。首脳たちは通りを封鎖した一角で腕を組んでいた。後ろにいるのは市民ではなく、数十人の私服のSPや政府関係者だ。つまり首脳たちは市民デモを率いてはいない。ただしメディアが嘘(うそ)をついたわけではない。首脳たちが市民デモの最前列で歩いたとは伝えていない。記事を読んだり映像を見たりした僕たちが、勝手にそう思い込んだだけだ。でも同時に思う。これはメディアが伝える「事実」の本質なのだと。

コップは上か下から見れば円だけど、横から見れば長方形だ。どこを捉えるかがメディアの視点になる。時おり質問される。同じ事件や現象を伝えながら、朝日新聞と産経新聞はなぜこれほどに論調が違うのか。どちらが嘘をついているのかと。どちらも嘘ではない。視点が違うだけなのだ(誤報は除外する)。現実はコップの形よりはるかに複雑だ。すべての視点を伝えることは不可能だ。どれかを選択せねばならない。それがメディア各社の個性になる。・・・つまり「テロに屈する」の正しい意味は、喚起された不安や恐怖を理由に、何らかの政治目的や宣伝を達成させてしまうことなのだ。ここまでを読みながら気づいた人もいるかもしれない。イスラム国による日本人人質事件だ。身代金を請求する行為は政治目的とは違う。むしろ営利目的だ。支払うことはテロに屈すると同義ではない。ただし一度支払えば反復されるリスクがある。だからこそ戦略や交渉が重要だ。遅くても今月初めの時点で身代金要求を政府は知っていたのだから、対応策はいくつかあったはずだ。しかし今、要求は政治目的にスライドした。この過程で「テロに屈するな」が交渉のブレーキになったのだとしたら、それはあまりに浅慮すぎる。・・・世界中が対テロで一体化しつつある現在だからこそ、メディアは多様な視点を提供しなければならない。たとえ売国や国賊と呼ばれても。(もり・たつや 56年生まれ。映画監督・作家。明治大特任教授)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11574915.html

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必ず再会、信じて 後藤さん、戦地の子の現状教えてくれた 「イスラム国」人質事件(2015/01/29朝日新聞)
世界各地の戦地を取材してきた後藤健二さん(47)は、紛争に巻き込まれた子どもたちの声をすくい取り、その声を日本の子どもたちに届ける活動をしてきた。包容力がある語り口。熱心だが大げさなことは言わない。そんな後藤さんに接した子どもたちは、無事の帰還を祈り続けている。「奇跡が起こり、後藤さんが無事にご家族のもとに帰れますように」。キリスト教系の玉川聖学院(東京都世田谷区)では28日朝、中学・高校の生徒約700人が礼拝堂で祈りを捧げた。拘束が報じられてから毎日続けている。同校では2005年から毎年5月、中学3年の総合学習の時間に後藤さんを講師に招き、人権と平和をテーマに授業をしている。最前線で銃を持たされるシエラレオネの少年兵、学校に通う夢を持つアフガニスタンの少女……。約90分、後藤さんは紛争地の子どもの現状を映像を交えて熱心に語った。「悲惨な状況を伝えるだけでなく、子どもに希望をもたらすにはどうすればよいか、常に分かりやすい言葉を選び、生徒たちに問いかけていた」と水口洋校長(62)。取材から帰国したその足で成田空港から駆けつけたことも。語り口は真摯(しんし)で包容力があり、影響を受けて国際支援の学科に進んだ卒業生もいるという。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11575040.html

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熱血!与良政談:「積極的平和主義」の死角=与良正男(毎日新聞 2015年01月28日 東京夕刊)
集団的自衛権の行使をめぐる議論が続いていた昨年、私がテレビやラジオで繰り返し語ったのは次のような話だった。安倍晋三首相はアフガニスタン戦争やイラク戦争のような戦闘には今後も参加しないという。だが、軍事支援にせよ、経済支援にせよ、精神的支援にせよ、米国が日本に一番協力を求めてくるのは泥沼に陥っているイスラム過激派との戦いではないか。日本はそれが難題となる−−。

イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)によるとみられる今回の許しがたい日本人人質事件の発覚直後から、米国が身代金の支払いに反対する考えを日本政府に伝えてきたのは、「テロと戦う同盟国」の証しを日本に求めているからのように思える。一方、安倍首相にとっては今度の中東訪問は「世界の平和と安定に従来以上に貢献していく」という「積極的平和主義」の一環だった。私は「首相は中東訪問をせず、2億ドルの人道支援を表明しない方がよかった」とは考えていない。非軍事面での関与は必要だと今も思っている。ただし「より積極的」という以上、こんな事態が起きる可能性を政府が事前に想定していたかどうか、あるいは昨年来、水面下で対応してきたという政府が具体的に何をしてきたのか、いずれ検証は要る。イスラム圏で日本は好印象を持たれてきた。しかし今度の訪問では安倍首相はこれまで一定の距離を保ってきたイスラエルと急接近した印象が強く、そこにISが乗じたと見る専門家もいる。つまり「積極的平和主義」に死角がないかどうか、冷静に分析しなくてはいけないということだ。もちろん、逆に「平和国家だから狙われた」と見る人もいる。でも、理想論に過ぎないとの批判を承知で言えば、私は日本は従来イスラム世界と敵対してこなかったこと、そして先の大戦を反省し、戦後、平和国家として歩み続けてきたことを何度も何度も明確な言葉で世界に発信していくのがやはり原点だと思う。そんな折、首相は25日のNHK番組で、戦後70年談話で「反省とおわび」の文言を踏襲するかどうかに関し、それは「こまごまとした議論」とでも言うような発言をした。言葉の力を信じることこそが今大切ではないのか。(専門編集委員)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150128dde012070006000c.html

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TPP:米通商代表、農産品関税「進展」 「日本とまもなく決着」(毎日新聞 2015年01月28日 東京夕刊)

 【ワシントン清水憲司】米通商代表部(USTR)のフロマン代表は27日、米議会上下両院の公聴会にそれぞれ出席し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉をめぐり、難航してきた日本との農産品関税交渉について「豚肉を含め市場開放交渉はかなり進展している」と指摘。「まだ残された課題はある」としながらも、「まもなく非常に前向きな内容で決着できる」との見通しを示した。フロマン氏は、交渉参加12カ国によるTPPの全体交渉でも「すべての交渉参加国が数カ月以内に決着させようと取り組んでいる」と述べ、今春を目指す交渉妥結に自信を示した。日本が聖域として守ろうとしているコメについては「未解決の課題だが、質・量ともに市場開放を拡大するよう日本に迫っている」と説明した。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150128dde001020056000c.html

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宗教超え「後藤さん救って」 宗教者ら官邸前で集会(2015/01/28朝日新聞)
27日、後藤健二さんの解放を願って、仏教、イスラム教、キリスト教の宗教者ら約80人が東京・永田町の首相官邸前で祈りを捧げた。その夜、後藤さんの画像が新たに投稿された。集会を呼びかけた鈴木伶子さん(76)は画像をみて、「つらくてつらくて、お祈りすることしか私にはできない」と話した。後藤さんとは「代々木上原教会」で知り合った。後藤さんはルワンダ内戦で心に傷を負った人の話を教会で講演したことがあった。「争いがどんなに悲惨かを伝えるために尽力する、本当に温かい人」と鈴木さんは語る。27日に公開された画像の後藤さんは、鈴木さんの知る姿とは別人のようだった。「ほおがこけ、目つきも鋭い。どうか生きて帰って」と声を震わせた。集会では、「日本イスラム文化センター」のクレイシ・ハールーン事務局長(48)が、「イスラム国」に対して「これ以上罪を犯さず、無事に後藤さんを解放してほしい」と呼びかけた。カトリック東京大司教区徳田教会の司祭、大倉一美さん(80)は安倍晋三首相に「平和憲法を持つ国の宰相として、後藤さんを救出してほしい」と求めた。日本山妙法寺の僧侶武田隆雄さん(62)は訴える。「武力では、平和をつくることはできない」
http://digital.asahi.com/articles/ASH1W5HD4H1WUTIL03T.html

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後藤さんの新画像公開か、「24時間」の期限示す(2015/01/28CNN)
(CNN) イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の人質となっているフリージャーナリスト、後藤健二さん(47)とみられる新たな画像が日本時間の27日深夜、インターネット上で公開された。後藤さんを名乗る音声は、24時間の期限を伝えている。・・・画像とともに後藤さんの声とされる英語のメッセージが流れ、ヨルダン政府に自爆テロ未遂犯、サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を改めて要求。「これが私からの最後のメッセージになると聞いている。私の解放を妨げている障壁は、ヨルダン政府がサジダの引き渡しを遅らせていることだけだとも聞かされた」と語り、日本政府からヨルダンに「あらゆる政治的圧力」をかけるよう求めている。
http://www.cnn.co.jp/world/35059588.html?tag=top;subStory

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ギリシャとEU  信用不安回避へ柔軟に(2015/01/28京都新聞)
欧州の信用不安が再燃しないか懸念が広がっている。 ギリシャの総選挙で、欧州連合(EU)から金融支援の条件とされた財政緊縮策に反旗を翻す野党の急進左派連合が圧勝し、同じ反緊縮派の保守政党と連立政権を樹立したからだ。新政権はEU側に対し緊縮緩和や債務減免などを主張する構えだ。しかし、26日に始まったEU財務相会合に参加した各国代表らは受け入れないとの考えを示す。双方の溝は深く、金融市場はEUとの支援交渉が難航することを警戒している。決裂すればギリシャの財政危機は深まり、欧州単一通貨ユーロへの信任が揺らぐことになろう。知恵を出し合い、折り合える策を探ってほしい。総選挙でギリシャ国民が急進左派連合を支持した現実を直視する必要がある。EUや国際通貨基金(IMF)などが2010年以降、総額2400億ユーロ(約31兆円)の支援を決めたが、年金カットなど条件があまりに厳しく、国民から屈辱的と受け止められている。公務員を大量解雇、失業率は約26%に上り、大幅増税は中間層を直撃した。料金滞納で家庭の電気やガスは止められ、親の失業で子どもたちは空腹に苦しむ。急進左派連合のチプラス党首は「人道危機」と訴え、国民の共感を得たことを見過ごしてはいけない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150128_4.html

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認知症、共生の時代 10年後に700万人 国家戦略策定(2015/01/28朝日新聞)
65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症。国の推計によれば、いまから10年後、私たちはそんな社会を生きることになる。認知症に関する初の「国家戦略」が27日、正式に決まった。「当事者の視点重視」「若年認知症の支援強化」が大きな柱だ。・・・65歳未満の「若年認知症」の人は2009年公表の調査で推計約3万8千人。働き盛りの世代で、高齢期とは違った生活課題がある。国家戦略では、都道府県への相談窓口の設置や、就労の継続支援の充実などが盛り込まれた。40代、50代で発症する人も少なくない。職場の中核だったり、家事や育児を切り盛りしたりしている人たちだ。発症後に家族にかかる負担は重い。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11573119.html

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福島第一原発の汚染水「海洋放出方針は遺憾」 全漁連(2015/01/28朝日新聞)

東京電力福島第一原発の建屋地下で生まれ続けている高濃度の汚染水処分をめぐり、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は27日、三重水素(トリチウム)のみであっても放射性物質が残った水を海に流すことに反対する考えを経済産業省に伝えた。原子力規制委員会が今月、多核種除去設備ALPS(アルプス)でも除去できないトリチウムが含まれた汚染水は海洋放出すべきだとの見解をまとめたことへの反論。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11573176.html

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(声)武器ビジネス縮小は日本の役割(2015/01/28朝日新聞)商社技術顧問 竹中寛(東京都 68)

私は40年前のレバノン内戦が勃発した時に、駐在員として現地に滞在していた。そこで見たものは、大人だけではなく小さな子どもまでもが自動小銃を撃っている光景であった。子どもであっても、強力な武器を持てば「相手より優位に立てる、戦える、征服できる」という危険な錯覚を抱くかもしれない。これが武器の持つ力だと感じた。「イスラム国」も、ニュース映像を見ると、子どもに銃を持たせて訓練しているようだ。武器への誘惑を利用して利益を得ているのが兵器産業であり、武器販売業者である。ここにテロ問題の本質があるように思う。テロリストのみならず、あらゆる武器の使用者は、武器ビジネスに踊らされて、殺し合いをする悲しい道化師のような気がする。だからテロ対策は、テロリストに立ち向かうことだけではない。日本がやるべき日本らしい役割とは、核兵器から小さな武器まで製造・販売・保有を縮小する方向に世界をリードすることではないか。10年、いや100年の計画で武器を削減し、テロリストたちに武器が渡りにくい環境を作りあげていきたい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11573049.html

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(声)安倍首相の対応に問題ないか(2015/01/28朝日新聞)無職 梅村和芳(岐阜県 63)

「イスラム国」に拘束された2人のうち、1人が殺害されたとみられるという。理由がどうであれ、人質殺害はけっして容認できるものではない。このままでは、「イスラム国」はますます世界から孤立していくだろう。ただ、私は安倍晋三首相の対応や言動についても疑念を抱いている。政府は、昨年のうちから1人が拘束され、もう1人も不明になっていることを知っていたという。それなのに安倍首相は1月中旬に中東諸国を歴訪し、地域全体で新たに25億ドル相当の支援を表明。そのうち総額2億ドルを「『イスラム国』と闘う周辺国」に支援すると明らかにした。1人が拘束されている事実を知っていたのだから、こうした表明は「イスラム国」から敵視される可能性があるので、慎むべきではなかったか。2人の殺害予告がネットで配信された後になって、安倍首相はイスラエルで記者会見して「2億ドルの支援枠は、避難民を救うための食料や医療サービスを提供する人道支援だ」と強調した。一国の首相には、最初から慎重な発言が求められたはずだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11573050.html

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(核といのちを考える)原発被災者の詩、切々と 吉永小百合さん朗読(2015/01/28朝日新聞)

原爆投下と終戦の年に生まれ、広島・長崎の原爆詩の朗読を続けてきた俳優の吉永小百合さん(69)が福島第一原発事故の被災者らの詩を朗読し、CDに収録した。「第二楽章 福島への思い」と題し、東日本大震災から4年になる3月11日に発売される。吉永さんは「今も故郷に戻れない福島の方たちの思いを私たちみんなで受け止め、寄り添えれば」と願っている。吉永さんは1986年、戦争や原爆の過ちを二度と起こさないために原爆詩の朗読活動を始め、97年に「第二楽章」(広島編)、99年に「第二楽章 長崎から」のCDを出した。2006年には「第二楽章 沖縄から」も作製。「第二楽章」の名には「戦後50年を経た今は第一楽章ではなく第二楽章。声高ではなく、柔らかい口調で語り継いでいきたい」との思いがこもる。 3・11以降は、福島での被災後にツイッターで発信し続けた和合亮一さんや福島県富岡町を追われた佐藤紫華子(しげこ)さんらの詩も朗読。広島と長崎、沖縄、そして福島で起きたことを「忘れない、風化させない、なかったことにしない」とする吉永さんは、福島の人々の詩を「CDに」との思いを募らせていた。

吉永さんはCD収録前の昨年末、帰還困難区域がある福島県葛尾(かつらお)村を訪れた。今月、東京都内で取材に応じた吉永さんは「一回行ってみないと本当の悲しみが分からないんじゃないかと思って。想像以上のショックでした。もうすぐ4年なのに何も変わってない」と語り、心を痛めていた。 さらに「今3・11の事故後に思うのは、これだけ小さな国で、地震がいっぱいある風土で、原発というのはやめてほしい、と私は思いますね。人間が安全に暮らしていくためには、もっともっと私たちが工夫しなければいけないと思うんです」と強調した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11573202.html

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時代の風:道徳の低下と孤独な社会=京都大学長・山極寿一(毎日新聞 2015年01月25日 東京朝刊)
道徳の復活、道徳意識の強化を求める声が高くなっている。小中学校におけるいじめ、ストーカー被害、インターネットによる嫌がらせ、無差別の暴力、ヘイトスピーチなど、常識を疑うような事件が頻発しているからだろう。最近、道徳の起源をめぐる2冊の本が相次いで出版されたのも、世間のこうした声を受けてのことだろうと思う。「道徳性の起源」を書いたフランス・ドゥ・バールは、アメリカのヤーキス研究所でチンパンジーの行動を研究してきた。「モラルの起源」を書いたクリストファー・ボームは南カリフォルニア大学の文化人類学者で、狩猟採集民の社会を研究するとともに、タンザニアで野生チンパンジーの行動観察にも取り組んできた。2人はともに、道徳がチンパンジーなど人間以外の動物の社会的な感情に起源を持つと主張する。群れを作るサルは仲間の行為を見てそれに同調し、共感する能力を持っている。チンパンジーなどの類人猿はさらに苦境に陥る仲間を助けようとする。加えてサルも類人猿も、群れの規範に従わない仲間を罰しようとする傾向がある。たとえ、それが最も力が強いオスであっても、自分勝手な振る舞いをすれば群れ全員の攻撃にあう。こういった共感や同情の能力が高まって、逸脱者を取り締まるルールが内面化し、人間に道徳意識が発達したというのである。・・・ではどうやって、人間は犯罪や逸脱者を抑えてきたのか。2人の著者は、ともに協力の不可欠な環境と言葉の役割を強調する。人間は類人猿のすめない過酷な環境に進出し、仲間内でうわさ話をしながら協力を強化してきた。言葉によってスキャンダルや恥ずべき行為をあげつらい、それを罰し、共同体から排除することによって、罪の意識を定着させてきた。ただ、これまで人間が暮らす社会は小さく閉じていたので、いまだに共同体の外に恥や罪の意識を拡大することができていない。「他人にしてもらいたいと思うことをせよ」という黄金律は共同体の内部のみに通用する話なのだ。

現代の社会でなぜ道徳の力が弱ってきたのか。人間に普遍的な恥の意識がそう簡単に薄れるはずはない。恥を感じたときにその行為を抑制できる環境や、罪を感じるルールが内面化されていないのが原因だと思う。隣人関係が希薄になり、共同体内部でうわさ話によって抑制し合うことがなくなってきた。さらに、多様な文化や価値観が入り交じり、どのルールを基準にしたらいいか判断が難しくなった。宗教が模範を示す力を失ったのも大きな原因だろう。道徳は自分が属したい共同体があってこそ成り立つ。それがなければ、道徳は心に宿らないのである。
http://mainichi.jp/shimen/news/20150125ddm002070108000c.html

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内戦下、市民「胸痛めてる」 日本人拘束、シリア首都では(2015/01/25朝日新聞)
 過激派組織「イスラム国」に拘束されていた湯川遥菜(はるな)さん(42)が殺害された可能性があるとする映像がインターネット上に公開された。フリージャーナリストの後藤健二さん(47)の安否はなお不明だ。「イスラム国」や他の反体制派が入り乱れた内戦が続くシリアの市民は、事件に心を痛めていた。・・・シリア内戦は、アサド政権、反体制派、「イスラム国」の三つどもえの戦いとなっている。アサド政権打倒をめざす反体制派には様々な勢力があり、統制は取れていない。「イスラム国」は一時、反体制派に合流していたが、勢力争いでたもとを分かった。・・・ 旅行会社で働くムハンマド・ホウシさん(42)は、アラビア語のインターネットのニュースで人質事件を知った。日本が「イスラム国」対策としての資金拠出を表明したことで、「イスラム国」側は日本が対「イスラム国」の戦闘に加わったと判断し、反発したとみる。記者は日本の支援は難民・避難民のための人道的、非軍事支援と説明したが、「ニュースではそう受け取れなかった」という。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11569104.html

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市場砲撃、20人死亡 ウクライナ東部(2015/01/25朝日新聞)

ウクライナ東部ドネツク州の港湾都市マリウポリで24日朝、アパートが立ち並ぶ住宅地の市場が砲撃を受け、内務省などによると、少なくとも市民20人が死亡した。けが人は80人以上。ウクライナのRBK通信が伝えた。マリウポリは親ロシア派の拠点になった州都ドネツクに代わる東部での政府の拠点。昨年9月の停戦合意直後をのぞくと、衝突はおおむね沈静化していた。ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの4外相は21日、親ロシア派とウクライナ軍が昨年9月の停戦合意にもとづき、双方の境界付近から重火器を撤去するよう呼びかけた。しかし、親ロシア派幹部は23日、「これ以上の和平協議には応じない」と述べた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11569101.html

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(社説)いま辺野古で 移設の状況にはない(2015/01/25朝日新聞)

沖縄県名護市辺野古の海がまた、大荒れの様相だ。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に伴う埋め立て工事に先立ち、沖縄防衛局がブイやオイルフェンスなどを張る海上作業を再開した。埋め立て予定地に接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前は連日、抗議の県民らと警官隊がもみ合い、騒然としている。けが人が続出。救急車で運ばれた人もいる。海上で抗議するカヌー隊の中には、海上保安官に胸を押されて骨折した男性や、救命胴衣を破られた女性もいる。異常な警備である。・・・ここに来て注目されるのが、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による埋め立て承認の判断を、翁長知事が覆すかどうかだ。承認手続きを検証する専門家チームが、まもなく作業を始める。仮に法的に欠陥があるとされれば、翁長知事は承認を取り消す方針。欠陥がなくても、知事選で辺野古移設阻止の民意を得たことを根拠に、承認撤回に持ち込む判断もあるという。承認の根拠の一つとなった国の環境影響評価(環境アセス)には、多くの専門家が疑問を呈してきた。この際、問題点を再確認することは意味がある。例えば国の天然記念物ジュゴンへの影響予測は「科学的ではない」との批判がある。オスプレイの運用も、一般の人々が意見を言えるアセス準備書段階まで伏せられ、低周波音対策などは示されていない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11568942.html

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(書評)『さまよえる町 フクシマ曝心地の「心の声」を追って』 三山喬〈著〉(2015/01/25朝日新聞)

地方に対する中央の無関心を突く。物語は一人の男が群馬県の渡良瀬川を訪ねるシーンから始まる。男が訪ねたのは百年以上前に起きたあの足尾鉱毒事件の現場だ。事件の記念碑を見て男は物思いに沈む。なぜなら彼の故郷は原発事故があった福島県大熊町だからだ。昔、消滅したその村と自分の故郷を重ねあわせ、胸を詰まらせていたのである。・・・本書が突くのはその無関心の構造かもしれない。福島だけではない。足尾もそうだったし、沖縄もそうだ。近いうちに消え去る無数の限界集落もそう。中央の人間は常に地方のことに無関心だったし、これからもそれは変わらない。福島はその無関心の隙間から噴出した事故だったのだ。福島に原発をおしつけて東京で電力消費する産業構造自体、無関心の産物だし、東京に原発を造れという極論に対する有効な反駁(はんばく)を我々はいまだに持ちえていないのだから。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11568967.html

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(書評)『知識欲の誕生 ある小さな村の講演会1895−96』 アラン・コルバン〈著〉(2015/01/25朝日新聞)

『記録を残さなかった男の歴史』で十九世紀のフランスの農村に暮らしていた木靴職人の人生を蘇(よみがえ)らせたアラン・コルバンが本書で試みたのは、第三共和政下、アフリカの植民地化を進めていた十九世紀末にモルトロールという農村で小学校教師が行った連続講演を再現してみせることだった。講演原稿は残されていないが、コルバンは、教師の人となりを示す資料や手紙を史料館から発掘し、その頃の出来事や世相、当時読まれていた書籍から時代背景を浮かび上がらせ、教師の語り口や講演内容、さらには聴衆の反応まで鮮やかに描き出す。・・・講演は村人の知識欲を満たす唯一といっていい機会だった。新聞や本を読む習慣がまだ根付いていない時代、歴史は感動を伴う物語にアレンジされることで、大衆に共有され、「良識ある愛国」が醸成されていったことがよくわかる。歴史記述が不都合な真実を隠蔽(いんぺい)し、安易な自己正当化に傾く今日、啓蒙の原点を見つめ直すことは反知性主義や衆愚政治への地道な対抗策になり得ると思った。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11568968.html

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鉛筆削って刃物の心得 削れる子2割・安全な使い方覚える(2015/01/25朝日新聞)

「最近の子はナイフで鉛筆も削れない」と言われて数十年がたつ。今や大人でも使いこなせる人が少ないのが実情だ。先月、私立中学校・高校の教師にナイフを使ってもらう体験会が横浜市と東京で開かれた。安全な使い方を子どもたちにも伝えてもらうのが狙いだ。・・・ ビクトリノックス・ジャパンが昨年おこなった調査では、ナイフで鉛筆を削れる子どもは日本では20%にとどまり、スイスの53%と比べて大きな差がついた。また、子どもに使い方を教えられない親はスイスでは3%だったが、日本は31%に上ったという。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11568959.html

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世界最大の水上メガソーラー、日本で建設(2015/01/23CNN)
5000世帯分の電力を供給、年間約8000トンの二酸化炭素排出を削減クリーンエネルギーの開発に取り組む企業は今、湖や湿地、池、運河などの水面をソーラーパネルの設置場所に利用しようと試みている。すでに英国、オーストラリア、インド、イタリアをはじめとする数カ国が、水に浮かべるフロート式の太陽光発電システムの導入を発表している。日本でも、フロート式としては世界最大の出力となるメガソーラー発電所が、千葉県市原市の山倉ダムに建設される。約5万枚のソーラーパネルが湖面の18万平方メートルを覆い、5000世帯分近い電力を供給する。完成すると、年間約8000トンもの二酸化炭素が削減できると見込まれている。
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20150121/432583/

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週のはじめに考える 文明は異なれど争わず(2015/01/25東京新聞)
見出しの「文明は異なれど争わず」とは人類共存のための原理です。だが、それが難しそうに見えるのは文明文化の違いを悪用する者がいるからです。「イスラム国」の蛮行は悪用の典型として、先日のパリの週刊紙銃撃テロの発端は新聞が掲げた預言者ムハンマドの風刺画でした。では、なぜムハンマドの絵はいけないのか。イスラム教の礼拝所、モスクに入ったことのある人はまず何もないことに気づくでしょう。・・・絵ではなく、たとえばムハンマドの死後二百年ほどのイスラム伝承学者イブン・サードはムハンマドの容姿をこう伝えています。<中背または少し高く、肩幅と胸は広く厚く、額は秀でて、目は大きく黒くて、黒髪は肩まで垂れ、あごひげは伸ばしていたが口ひげは摘んでいた。身だしなみはよく、髪には油、ひげには水を塗り、まぶたには黒い粉をつけていた>(角川書店「世界人物逸話大事典」)原理主義者の伸ばしたひげは、預言者にならっているともいわれますが、似顔絵など今のイスラム世界にはありません。それも偶像崇拝となってしまうからです。・・・ それがフランスの新聞に描かれて、しかもからかう調子だったのだからイスラム世界の不快感は当然でした。一方でフランスは表現の自由を主張しました。フランス革命で勝ち取った権利であり、自由こそは西欧文明の核心、発展の源だからです。引っ込めるわけにはゆかない。・・・テロを起こす勢力は、あらゆる対立、亀裂、矛盾を巧みに扇動の種とします。ネット時代では情報は正しくとも間違っていてもそのまま個人に届きます。ハンチントン先生のころと違って、文明を衝突させないため、政治だけでなく個人も責任をもつ時代になっているのです。イスラム教徒は世界七十億人中の十五億人。五人に一人。それほど多いが原理主義者は少なく、テロリストはさらに極少です。世界は惑わされてはならず、異文明に偏見をもってもならないのです。「イスラム国」の人質事件は偏見につけ入ろうとしているのです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015012502000153.html

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格差社会  人口減時代の再分配とは(2015/01/25京都新聞)
 <経済力にせよ軍事力にせよ、日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい。『別品(べっぴん)』の国でありたい>
 コラムニストの天野祐吉さんが、昨年の没後に出版された「成長から成熟へ―さよなら経済大国」に書いている。著しい少子化と高齢化で、日本はどの国も体験したことのない継続的な人口急減社会に入った。戦後70年。「成長」を至上の旗印に、走ってきた国のあり方が根本から問われている。世界の新しいモデルとなるような「別品」の国とは何か。・・・ 安倍晋三首相はアベノミクスで「成長」に最大価値を置く。円安と株高を誘導して大企業や資産家に恩恵を与える一方、公共事業を増発する。政府と日銀でカネをまき、無理やり「成長」を水増しするかのようだ。実質賃金や実需は増えておらず、「経済の好循環」には遠い。所得、地域、世代、性別…。格差は多面的に広がる一方である。・・・ 野党でも、自民党の中からでもいい。高度成長期のような公共事業のばらまきではない、人口減時代における再分配の理念と手法について、骨太の議論を起こしてほしい。個人や企業の応能負担を徹底するため、課税の抜け穴を防いで対象を広げたり、霞が関で差配する税財源を地方に移譲したり、痛んだ雇用や公教育の再建など論点は幾らもある。成長が横に広がり、人がつながって社会の亀裂をふさぎ、足腰の強い地域社会が立ち上がってこそ、グローバル経済に翻弄(ほんろう)されない「別品の国」が見えてくるのではないだろうか。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/

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