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グランブルーなひとたちへ

 

2002年

 

2002/12/28 Non-violence

今年も終わろうとしている。不況の風が冬の冷たい風と重なって、人の心にそして路上に生きる人達にとっては命に重くのしかかる。この21世紀に、最低限の人権を守ることすら出来ないなんて悲しすぎる。年が明けてアメリカはイラクを空爆するだろうか?北朝鮮は早まった行動をとらないだろうか?悲劇の連鎖をこれ以上続けないで欲しい。世界中の全ての人が平和に幸せに暮らすことを夢みている。

アメリカのイラク攻撃を真摯に反対しているのはあの同時多発テロで愛する肉親を亡くした人達だ。本当の悲しみは報復を求めない。相手に同じ思いをさせる事が人間として耐えられないのだと思う。それぐらい深い悲しみ。テロで息子を失ったアメリカ人のお母さんが、アフガニスタンの同じように息子を亡くした母親と抱き合って悲しむ姿は、人間の原点を教えてくれる。人間の愛に人種や国境はないことを二人の背中が痛切に物語っている。

テロは許せない、それは分かり切ったこと。しかしその解決手段が武力による報復しかないだろうか?まして、それが憎しみの連鎖を生み出すだけで解決にはならないことを多くの人は分かっている。世界中の国が協力して、対話による解決、ねばり強いやり方がきっとあると思う。暴力が介在する正義はない。もしあるとすれば正義そのものが正しいと言う意味からは離れた言葉だ。ジャスティス、The true justiceはNon-violenceでなければならない。非暴力、それが絶対的な条件だと僕は思う。

Peaceful tomorrowの人達には人間の貴さが満ちている。深い悲しみを乗り越えて、明日への平和のために感情をコントロールして運動する人々。人類が共通で目指さなければならないものを一つあげるとすれば、平和以外にはあり得ない。そして環境や動物愛護やリサイクルの心など身近なものに対する意識は、間違いなく平和への布石となるはず。何故ならそれらは命へのそしてものへのやさしさというキーワードで結ばれているから。2003年、やさしさと対話が暴力を駆逐するような年であって欲しい。そして少しでもその兆しが見えることを信じて。

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2002/12/24 知ることの大切さ

海のことを考えると、どうしてもやりきれないのが海中での核実験です。太平洋の人的被害がないところかも知れませんが、海域に棲む生物にとって致命的な事は間違いありません。いつか瀬戸大橋を作るときに海底の基盤工事をするためのダイナマイト爆破について、専門家が語っていましたが、一回の爆発での火薬の量をなるだけ押さえて、魚への被害を最小限に止めなければならない、それが工事で最も大事で難しいことだそうです。

ダイナマイトでさえ、そこまで神経を使ってるのに、原水爆の爆発や衝撃波は比較にならないですから、海の生物にとって考えられないような恐ろしい事です。全ての魚を事前に非難させるわけにもいかないし、誰も見てないしえいっ!見たいな感じでしょうか。許せない話です。アメリカを筆頭にイギリス、フランス等が過去に太平洋で実験を繰り返してきました。パリの町並みをあんなに大切に守ろうとするフランス国民がどうして実験を許すのだろう?やむえない自衛の為?確かにそうかも知れません。でも、過去において、実験の結果による生態系へのダメージや損傷について詳しく報道された事があるでしょうか?

 

洋上ならあまり被害がないと思わされているふしがあります。原水爆実験以外でもそうですが、正しい報道がなされていないから、知らないから、そのまま進行してしまうような事柄がたくさんあるんではないでしょうか?もちろん大国は自国に不都合な報道を許しはしませんが、ジャーナリズムはその圧力をはね返し潜り抜けて、報道して欲しいものです。ある国では知られていて、ある国では全く無関心、そんな事態が結構多いのではないかと思います。インターネットの普及で情報の隠蔽は今までのようには行かないと思います。でも、今度は私たちが自ら積極的に情報を求めなければ得られないのもインターネットの事実です。そこにはテレビや新聞と違う新しいコミュニケーションの掟のようなものがあります。

自らの手で情報を探し、真実を判断する。そして自分の生き方考え方の指針にする。そんな時代になってきたのだと思います。それは、知ることが出来ない時代から、知ることが出来る時代、知らなければならない時代への文明の移行ともいえるのではないでしょうか?

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2002/12/21 時の彼方

プラトンやアリストテレスが英知を競ったギリシャの彼方、エジプトの砂に埋もれてしまった真実の歴史、古典期マヤの闇の彼方、不思議な記憶を今にとどめるホピ族の原点・・・人間の歴史には生物学的に言うミッシングリングではなくて、知的な意味でのミッシングリングが確かに存在します。それは俗に言われてきたムーやアトランティスやレムリアの失われた大陸かも知れませんが、僕にはこの短い有史の記録を残す現代までのこの足下に埋もれているような気がしてなりません。歴史上の度重なる蛮行「焚書」によって貴重な書物が失われてしまったことも、現代人を無知たらしめている大きな原因の一つです。

エジプトや中国そしてバビロニアやシュメールなど文明の発祥とされている文明でさえ、数学や天文学など高度な知識がもともとあったように思われます。とても全てが揃って突然開化するとは思えません。もともとあった知識、書物と言い換えてもいいと思いますが、今は完全に失われてしまった原典が各地にあったのではないでしょうか。今から300年近く前に出版されたガリバー旅行記の中の火星の二つの月についての不思議な記述。その他ガリバー旅行記に出てくる不思議な科学はジョナサン・スイフト自身が何らかの古代の書物を見たのではないか?そんな疑問が湧いてきます。

そしてあのジュールベルヌの先見性にしても、あまりに見事に未来を予測しています。僕には断片的かも知れませんが、古代の知識を書き記した数少ない記録が残っているのではないかと思います。日本でも最近になって縄文人が思っていたよりはるかに高度な文化を有していた事実が考古学的調査で日々明らかになりつつあります。過去は現代科学がもっと進まなければとても見ることが出来ないことがやっと理解されつつあります。現代は僕たちが思っているほど進化した文明ではない、それが証明される時が進化した文明の時です。

その日が来るまで、現代人はもっと謙虚であらねばならない。決して奢りや慢心から環境を壊したり戦争を起こしてはならないと思うのです。

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2002/12/18 なつかしの街

よくも悪くも一番大阪らしい街、それが新世界です。ドヴォルザークの新世界とはイメージが随分かけ離れていますが、古きよきものもたくさん残っている場所です。将棋や囲碁の道場、昔ながらの芝居小屋、串カツの屋台が軒を並べる雰囲気はまさに大阪。近くには動物園や美術館までありその気になれば一日中散策出来ます。デフレでものが安いのには驚かない時代になりましたが、バブルの時でもここには500円の靴や200円のズボンをなげやりに売っているお店があります。

そしてここは北は北海道から南は九州までいろいろな訳ありの人達が流れ着く場所でもあります。中には毅然としたポリシーを持って生きている人もいますし、詩を書いたりゴミや廃材で彫刻を作っている人もいます。酒場は午前中からにぎわい、不安や悲しみをお酒で紛らわす人もいます。そして何やら嬉しそうな表情で元気に飲んでいる人もいます。あのバルザックの小説「居酒屋」のイメージがこの街にはあります。

この街を見ているとふっと時代錯誤に陥ることがあります。悲しい人やさみしい人達が、あるときは肩をぶつけ合いそしてある時は肩を寄せあって生きる・・・大阪の唯一の取り柄である人情見たいなものが感じられるのです。でも、この街も急速にその色を失いつつあります。大きな社会の流れが、普通の街へと押し流そうとしているようです。全てが整理されきれいになり便利になっても、それは人の幸せとは無関係。逆に合理主義はある種のヒューマニズムの破壊です。大量にゴミを出し、選別しカラスよけネットで守るのが本当に近代化と呼べるでしょうか?大量に不必要にまでものを消費されなければ成り立たない社会。そして大量のゴミと共に多くの悲しい人達をも生み出している今の社会。

ボランティアで新世界の貧しい人達に炊き出しをしている教会の壁にはこう書かれています。「神は愛なり」と。

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2002/12/17 宇宙遺産

ココ島の美しい海の映像を見ましたか?世界遺産のテレビ番組で見たのですが、命が満ちあふれていてすごい場所だと感動しました。まるで海中の竜巻のように疾走する何万という魚影。ウミガメの甲羅に自らの体をこすりつけてうろこについた虫を落とす魚達。そこではあの恐いサメでさえも自然の一員として違和感がありません。美しい自然環境は歪みのない食物連鎖によって全ての生命を維持しているのだとあらためて思いました。

ダイビングの経験のある友人に会うとみんな口を揃えて言う言葉があります。青い海に実際に潜って体感すればどんな人間でも感じることがあると言うのです。四国や日本海の浅瀬で素潜りしか経験のない僕にでも彼らの気持ちは少しわかります。きっと深い海に長時間潜っていると、頭ではなく体に自然の美しさや息吹が染み込んでくるのだろうな・・・グランブルーの世界が体で分かるんだろうな。

ココ島の映像を見ただけでも、環境は守らなければいけないなと感じます。世界遺産、それはこの銀河系の中でも多様な命が育まれてきためずらしい星、地球そのものを守ることです。地球はまさに銀河の宇宙遺産なのです。多くの宇宙飛行士地球を見て感じたという神秘的な印象。それは地球の青さがかけがえのない青さだと言うことをこの宇宙の創造主が知らせているからに違いありません。

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