bars60

グランブルーなひとたちへ

グランブルートップへ 

2003年

2003/09/20 真の理由

今、世界で難民が2000万人以上いると言われています。その多くは大国の思惑や施政者のエゴから起こった紛争や戦争で祖国を追われた人達です。彼らはただ普通に平和に暮らしたいだけの人々です。戦争の爪痕は必ず弱者に残ります。先日ニュースでアフガンの難民が荒れ果てて復興の進まない祖国へ帰って瓦礫の中で暮らすシーンが写っていました。彼らの一人がインタビューに答えて言っていました。

「ここでは、難民キャンプよりひどい生活です」「またキャンプに帰るつもりです」絶望に満ちたその目と声は理不尽な現状を語りつくしていました。アフガニスタンでの戦争、イラクでの戦争、アメリカの唱える戦争への大義は疑わしいものばかりです。もし仮にそれが正しかったとしても、流された血はあまりにも多く、残された悲しみはあまりにも酷いものです。

アフガンの子供達、イラクの子供達の悲しみに満ちた目をアメリカやその同盟国の指導者はまともに見れるでしょうか?アメリカがいくらテロとの戦いの正当性を唱えても、今現実のアフガンやイラクの惨状、そして何よりもテロがより増幅されている現状を見れば、戦争は間違った選択肢であることは明らかです。それでも戦争をするのには、表向きとは違う理由があると考えなければなりません。

石油の利権やアラブ世界の弱体化、イスラエルの擁護など様々な裏の理由は思い浮かびますがどれも非人間的な理由です。もともと何故テロが起こるのかと言う理由や原因に何故スポットを当てないのでしょうか?それはとても複雑な問題ですが、だからこそ見つめなければならないと思うのです。無差別に人を殺すテロには正当性はないですが、何故そんな行為が起こるのかをもっとつきつめて考えなければ、真の平和への答えは出ないはずです。

top


2003/05/30 愛すること

人は恋をすると感性が鋭敏になります。何気ない日常の景色の中に日頃気づかない様々な発見をします。人を愛する気持ちが心をやさしくするからでしょうか。梢にぽつんと止まる雀を見たら「ねえ、君は独りぼっちなのかい?」と声をかけます。立ち枯れた街路樹を見ると「排気ガスでこんなに空気を汚してしまって、ごめんね」と謝ります。木陰で野良猫が気持ちよさそうに寝ている姿や表情を見るだけで自分も幸せになります。

「気持ち良さそうだね、どんな夢を見てるの?」時々ヒゲをぴくっとさせる様子を見ながら猫の夢まで詮索します。好奇心が旺盛になるのです。人に対しても動物にたいしても見過ごせなくなります。それは暖かい心です。好奇心のない心は冷たくてさみしいものです。「愛と好奇心」ふたつはよく似ています。

愛する人へ向かう気持ちは噴水の波紋のように次から次へと周囲に拡がります。空を泳ぐ雲の一つ一つに表情を見つけます。蒸発して消え去ろうとしている雲には「またねっ」と声をかけます。空の青さは心の中に染み渡り、風は繊細なシルクのように頬をなでます。全てが心地よく全てが感動的です。「どんな薬もどんな食べ物も命をこんなに元気にしてくれはしない」「どんな書物もどんな音楽も心をこんなに豊かにしてはくれない」言い過ぎかも知れませんが、愛は人の魂そのもののような気がします。

top


 

2003/05/29 命あるもの

相次いで友人を失いました。一人は長く会ってなかった友達。一人はしょっちゅう会っていた友達。会ってなかった友達にはこんな事になるのなら思った時にさっと会いに行っておけばよかったと後悔。学生時代に二人で山に登ってタバコ好きの彼が山中でタバコを切らして、来た道を引き返して何本かのしけもくを嬉しそうに拾って帰ってきたときの笑顔。その後たまたま東京で出会って、嬉しくて語り明かした夜のこと。結婚してすっかり落ち着いてしまったけど、人の良さそうな笑顔は相変わらずだったあの日。

あれから10年近く会わなかったけれど、まさか死んでしまうとは思いもしなかった。一緒に酒を飲んで近況を語り合いたかったです。それから毎週のように会っていたもう一人の友人。最後に別れたときはあんなに元気だったのに、風邪ひきからあっと言う間に病状が悪化して亡くなってしまった。まるでキツネにつままれたようです。しょっちゅう会ってたけれど、未解決な話題をたくさん残してしまいました。今まで知人や親戚、父親など何回もの死と向き合って来ましたが、こんなに心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになったのは初めてです。

きっと同時代にたまたま気があったからこそ共有することが出来た思い出があり、生きる上で共感できる価値観を持つ数少ない人間だったからでしょうか。彼らともっともっと友情を育てて行きたかった。そしてお互いに子供を持つ父親として、一社会人として若い時代からお互いを見つめてきた目で励ましあったり、意見しあったりすることをまだまだ続けて行きたかった。そう思う僕の気持ちは悲しみではなく自分の一部が無くなってしまったような感じです。

人は生きている限り数え切れないほどの死を感じたり向き合ったりしなければなりません。世界中から毎日伝えられる痛ましい事件による死もあれば、身近な交通事故や病気による死。直接、間接に関わらず無数と言ってもいいほどの死を意識しながら生きています。道路上で無惨にひき殺された犬や猫の死骸。時々にショックを受けながらも、自分が生きるために黙殺しなければならない事が多いのも事実です。

ただ人は出来る限り命に対して生かす事を考え努力しなければならないと思います。殺すことではなく生かすこと。それは一輪の花でも一つの山でも動物でも人間でも、全て生ある物への基本的なエチケットです。二人の友人が相次いで亡くなってしまったこと、それは僕に命の大切さかけがえのなさをあらためて認識させる出来事でした。

top


 

2003/05/22 かけがえのないものとそうでないもの

命、心、自然、遺跡、美術品、どれも皆かけがえのないものばかりです。この宇宙の神秘と時の流れの中で必然的に育まれそして生きているものです。それに引き換えそれらかけがえのないものを破壊する戦争の目的は何でしょうか?石油等の資源への利権や民族、宗教、主義へのこだわりと保守です。それらはどれもかけがえのないものではありません。知恵と歩み寄りがあれば何とかなるものです。最近特に思うのですが、馬鹿げたダム工事や、海岸の埋め立て工事など目先の利潤と利権だけを求めるだけの計画が多すぎます。もともと多くの命を育む自然環境とそれらの計画は同じ秤にかけれるようなものではありません。

まさにかけがえのないものと何とでもなるものを同じ秤に載せているようなものです。国のこの無意識はとても重大な事です。何故ならその無意識は蔓延するからです。人に保険金をかけて殺人をする行為も、命とお金を同じ天秤に載せています。矢で鳥や猫を射る行為も紙の的と命を同じ天秤に載せています。信じられない事ですがそんな行為をしてしまう彼らには紙の的がいくらでも貼り替えれる事実と鳥や猫の命がもとに戻らないという明白な差が分からないのです。かけがえのないものとそうではないものの明確な区別は人間が人間らしくあるためのもっとも重要な意識だと思います。

高級車に歩いているお年寄りが当たって、運転手がお年寄りの安否は気にかけずに真っ先に車に傷がついていないかどうか確かめたと言う恐ろしい話を聞いたことがありますが、人の命でさえ車の傷と天秤にかけるような人間がいるのです。物は物です。それは物を大切にすると言う心とかけ離れた行為です。命や心を大切に生きてる人は当然のごとく物も大切にします。何故ならその人達は物にも心があることが分かるからです。先ほどの運転手のような人間は車と言う物を大事にしてるわけではなく、高級車と言うお金を大事にしてるのです。

かけがえのないものとそうでないものを区別する意識。それは人間教育上もっとも大切で、そして簡単な事です。呆れるほど簡単なこの真理を家庭でそして教育の現場ではたして教えているでしょうか?昨今の悲しく恐ろしい犯罪事件を見ていると全ての根っこはそこにあるような気がしてなりません。

top


 

2003/05/02 イラク戦争について今、書いておかねばならぬこと

今回のイラク戦争で戦争の恐ろしさと残虐さをかいま見ました。実際の戦争を知らない僕にとって、アメリカの厳しい報道管制と情報操作の中からの映像がほとんどでしたが、それでも戦争の悲惨さを実感するには充分でした。逆にかいま見れる真実から、実際はもっと残虐で恐ろしいことがいっぱいあるのだと恐怖しました。アフガニスタンへの攻撃の時もそうでしたが至上目的だったはずのビンラディン氏の補足とテロ事件の真実の追求は途中からどこかへ消えてしまいました。今回のイラク攻撃でも大義とする目的は大量破壊兵器の発見とフセインの逮捕もしくは追放だったはずですが、結果どちらも曖昧のままです。代わりに多くの子供達や民間人が戦争の犠牲となり、新たな憎しみの種をばらまいただけです。

今回の戦争の激しい空爆の映像を見てると、これはもう人間の神経ではないなと思わざる得ません。目標の建物に人がいようがいまいが、ミサイルを撃ち込み、爆弾を投下する。この恐ろしい戦争を企てた者達はそれを広島での原爆の効果になぞらえてShock and Aweとか呼んでいるそうですが、その発想自体がもう人間性を逸脱しています。そんな効果を受けた小さな子供達の心にどんな傷が残るのか考えないのでしょうか?イラク戦争の取材に当たった日本の報道各社の特派員達が帰国して口を揃えて言ってた言葉があります。「被弾して体がばらばらになった子供や泣き叫ぶ家族の声は表現も出来ないほど残酷で悲しいことですが」「あの激しい爆音を部屋の片隅で恐怖におびえ、震えながら聞いていた子供達の心は将来どうなるのだろう?」現地で取材したカメラマンやレポーターは自分自身の恐怖を交えてこう語っていました。

今回の戦争はどこから見てもおかしな戦争です。もともとビンラディンもフセインもアメリカが擁護し育ててきた人物です。お互いの利害のために利用しあったと言うのが実際でしょうが、アフガン攻撃の時も今回のイラク攻撃もビンラディンやフセインと言う「悪玉」を仕立て上げなければこんな非人道的で強引な戦争を仕掛けられたでしょうか?そこに大きな疑問を感じます。

今、戦争がひとまず終結して(本当の戦争はこれからかも知れませんが)アメリカが言うイラク戦争の大義はほとんど実感出来ませんでした。代わりに誰にでも分かる理由が浮き彫りとなってきました。始めから言われているように第一はイラクの石油に関する利権です。第二にイスラエルの擁護。第三に反米的な感情の強いイスラム教を信仰する国々への干渉基盤を作ることです。第二と第三は結果としては同じように感じますが、小国イスラエルは経済や政治で大国アメリカを動かす力を持っていると言う意味で第二の理由優先されるはずです。他にも複雑な理由はあると思いますが、明らかに見えるのはこの三つだと思います。アメリカが言っている大量破壊兵器やフセイン政権の打倒、そしてアラブの民主化などは二義的、三つの目的を達するための口実と言っても過言ではないかも知れません。

アメリカが今回徹底的に国内のマスコミを操作し、この戦争が決して間違っていないし、この戦争が必要だと国民を洗脳にかかったのは、戦争の悲惨な真実が明るみに出ると、反戦の中からわき起こる戦争への関心が、戦争の真実にまで飛び火して、こうした下心がばれてしまうからだと思います。それはとてもヒューマニズムの国、アメリカらしからぬ考えだからです。それにしても今回のアメリカのメディアへの規制は徹底していたようです。アメリカの都合のいいシーンしかテレビには流されなかったようです。アメリカの兵士がイラクの子供を助けて抱き抱え、フセインの銅像が倒されてイラク国民が喜んでいるシーン。そんな光景が繰り返し茶の間に流されて、実際のイラク国民の怒りや悲しさ、幼い子供達の無惨な死体や泣き叫ぶ家族・・・それは完全と言っていいほどシャットアウトされたようです。

インターネットが発達しこれだけの情報社会であっても、テレビ、新聞、ラジオ等の身近なメディアが自由を奪われると、世論は簡単に権力者に操作されてしまうという見本です。日本のメディアもアメリカほどではありませんが、今回の戦争に関してはかなりの規制や圧力がかかっているようです。現地で取材していたレポーターやニュース番組のキャスターなども真実が報道できないための歯がゆそうな面もちを何度も見せていました。私達一人一人は、どんな世界でも言論の自由がないところには暴力がはびこり、暴力が制するところには自由がなくなると言う当たり前のようですが怖い真実をいつも考えねばなりません。

イラク戦争の是非が世界で論じられている頃から、アメリカのマスコミが自由に真実を報道していれば、今回の戦争は防げたかも知れません。だってアメリカ人がこの戦争の正体を知ればよほどの軍国主義者か変な思想の持ち主以外全員反対するに違いありませんから。自由を愛するアメリカ国民ならきっとそうするはずです。

そしてあの忌まわしい9.11のテロ事件の事も、テロが悪で撲滅しなければならないと言う視点からだけではなく、何故アメリカがアラブの人達に命を賭してまで憎まれるのかと言う、その原点を考えて欲しいと思います。今世界で絶対的な大国であるアメリカの国民の多くがそんな視点や考え方を持ったとき、始めてテロや戦争のない平和でやさしい世界が築かれるのではないでしょうか?

top


 

2003/04/11 そこに子供が!

13歳のシャルロット・アルデブロンさんのスピーチをインターネットで読んで、これが真実なんだと涙があふれてきました。ブッシュさん、ブレアーさん、ラムズフェルトさん、そして日本の小泉さん、あなた達がどんなに言葉巧みに自由や正義を叫ぼうが、あなたたちが行っている行為、支持している行為の真実は、シャルロットさんが全て語り尽くしています。あなたたちにもお子さんがいるはずです。

愛する人がいるはずです。どんな理屈をこじつけられようが、あなたたちの子供や愛する人がスマート爆弾で殺されたらどうしますか?どう感じますか?そこには怒りを越えた悲しみがあります。あなたたちはそんな残虐を意志を持ってやっている。この戦争の正当性や戦後の処理を冷静に語るあなたたちのこころには一体何が宿っているのですか?恐ろし過ぎます。バンカーバスターの下に誰がいるか本当に分かっているのですか?あなたたちの行為は現実の殺戮とともに、未来まで殺しています。

 

シャルロットさんのスピーチの中に、こんな文章があります。

「これは冒険映画でも、空想物語でも、テレビゲームでもありません。これが、イラクの子どもたちの現実なのです。最近、国際的な研究者の一団がイラクに行って、戦争が近づいていることが、向こうの子どもたちにどう影響しているかを調査してきました。」

「彼らが話した子どもたちの半分が、これ以上何のために生きるのか分からないと語っていました。本当に小さい子どもたちでさえ、戦争のことを知っていて、心配していました。5歳のアセムは「銃や爆弾がいっぱい来て、お空が冷たくなったり熱くなったりして、みんないっぱい焼けちゃうんだよ」と言いました。10歳のアエサルは、ブッシュ大統領に「たくさんのイラクの子どもたちが死にます。それをテレビで見たらきっと後悔する」と知ってほしい、と言っていました。」

後悔ではすまないでしょう。なのにブッシュ大統領は平然と自分の正しさを訴えています。あらゆるメディアを操作して、この戦争は正しい戦争だと訴えています。どれだけ上手に演出しようがみんなわかっています。正しい戦争なんてないと言う事を。

 

シャルロットさんのスピーチの次の言葉を涙と怒りを覚えずに読めますか。僕はこの四行の文章がこころに届かない人間なんて人間じゃないと思うだけです。

 

幼い彼女はイラクの子供達の身になってこう書いています。

「私たちは、明日も生きられるか分からないと考えるとこわいです。

殺されたり、傷つけられたり、将来を盗まれると思うと悔しいです。

いつもそばにいてくれるお父さんとお母さんがほしいだけなんです。

そして、最後に。私たち、何か悪いことをしたでしょうか。わけが分からなくなってるんです。」

米国メーン州プレスクアイルに住む13歳のシャルロット・アルデブロン(Charlotte Aldebron)さんのスピーチの記事http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303270225.html

top


 

2003/04/08 なんのために?

アメリカは大きな過ちを犯しました。圧倒的な軍事力を持つアメリカは決して他国を先制攻撃してはならないはずです。自国の防衛、他国の防衛にその強大な軍事力を平和への抑止力として誇示し続けることが唯一の国際平和を維持する方法のはずでした。ビンラディンやフセインを悪玉に仕立てて、武力行使をしたいだけの今のアメリカ政府は完全に狂っています。世界の多くの人はその矛盾と不合理性に気がついています。これだけ多くの人を殺してまで実現したいものとは何か?このイラク戦争の結果、中東のみならず世界はもっと不安定になり、今までおきなかったようなテロも誘発してしまうだろうこの戦争をどうしてもやりたい理由は一体何なのか?

理由は幾つかあると思います。石油の利権、宗教の問題、民族の問題、そしてあまりにも強大になりすぎたアメリカ自体の問題。自分たちの正義が世界の正義だと勘違いするほど強大になった軍事力に振り回されるアメリカ。ローマ帝国の侵略や圧政、あの恐ろしいヒトラーのナチでさえ最初は彼らなりの正義でした。正義と言うものがあるとしたらそれは明確な悪に対してのみ始動するものです。アフガンやイラクで行っているのはどう考えても一方的な殺戮です。手も足も出ない相手に対して、ミサイルや空爆を雨あられと降らすような行為に正義のかけらも感じることが出来ません。その行為は人の命に対してあまりに軽薄です。正義の国が後々、小型の地雷のように残ってしまうクラスター爆弾や放射能の後遺症を残す劣化ウラン弾を平気で使えるでしょうか?

今アメリカ軍に殺戮されている兵士の中にはフセインのためではなくイラクのために戦っている人も多いはずです。イラクを解放するとか言ってるアメリカがそのイラク人を殺してどうするんですか。空爆で死んでいるほとんどの人はなんの罪もない人々です。フセイン政権を倒すためにこんな恐ろしい方法しか思いつかないなんてあり得ない。フセイン政権や大量破壊兵器のことはだれがどう考えても、こじつけとしか思えない。そして今のアメリカには真実が露呈しても構わないというような気風さえ見えるんです。アメリカの心有る国民自体がこの恐ろしい指導者達をセーブしなければ、世界中が戦火に見舞われることになりはしないか、今世界中の多くの人が同じ危惧を抱いているはずです。

top


グランブルートップへ

 

テキストとビジュアル


bians